ちなみに、その公取委は委員長と4人の委員で構成される「行政委員会」と呼ばれる合議制の組織である。委員長および委員は、財務官僚、裁判官、検察官、学者、公正取引委員会事務総局の出身者で構成されている。この行政委員会はどこにも指揮命令されず、独立して権限を行使する。委員会の下には、「事務総局」が置かれており、実務面でのサポートをしている。

 また、「出向検事」の制度もあり、法務省から4人の検事が出向している。告発に向けて、また行政と犯則調査、行政処分の取消訴訟等の指導・助言、また検察庁との連絡調整を行っている。つまりは、今回の裁判において公取委による意見書は、とても“重み”がある決定打になったといえるのではないだろうか。

任社長はソウル大出身の
超絶ビジネスエリートだった!

 そもそも、焼肉・韓国料理レストラン「KollaBo」(コラボ)経営者である、株式会社韓流村(はんりゅうむら)代表取締役、任和彬氏とは、どういう人なのだろうか。

 食べログを訴えた裁判のニュースを知った当初、筆者は、てっきり、親か祖父母が焼肉店を経営し苦労して成功、その後を継いだ2代目か3代目のボンボンだろうと勝手に思いこんでいた。

 そんな人が食べログの点数減に“キレ”て、グルメサイトのガリバー、食べログに一人でむちゃな戦いを挑んだのだろう、くらいにしか思っていなかった。ところが任社長本人に話を聞くと、その経歴や経験には驚きの連続であった。

 1971年、日本で生まれた任社長は、現在51歳。父親は韓国ソウル大学の教授で、任社長は6歳の時にソウルに渡った。ソウル大学は、韓国の最高峰の国立大学であり、日本で例えるならば東京大学に相当する。日本よりもさらに過酷な超学歴社会の韓国の最高峰であるから、相当なエリート校だ。

 韓国のソウルには、ソウル・高麗・延世と3有名大学があり、それらの頭文字でSKY(スカイ)と呼ばれ別格扱いにされている。超学歴社会の韓国では、過酷な大学受験を乗り越え卒業した優秀な者のみが、やっとの思いで財閥系の大企業(大企業と中小との給料格差は、倍以上の差がつく)や官僚、政治家などへのスタート・ラインに立つ。

 任社長もソウル大学を卒業後に日本に戻り、東京にある韓国の財閥系証券会社で働いた。その後、アメリカのペンシルベニア大学のウォートン校でMBA(経営学修士)を取得した。同校は、最難関ビジネス・スクールの一つでもあり、ファイナンス教育において有名。卒業生には名高い経営者が数多く、誰もが知っている代表的な人物は、宇宙開発企業スペースXや電気自動車テスラの創設者、そして最近ではツイッターを買収したことでも話題のイーロン・マスク氏だろう。

 さらに、アメリカの三大ファンドの一つに勤め、東京支店でファンド・マネジャーとして活躍、日本とアジア全体に投資していた。その間、日本で8年、ロサンゼルスで1年働き、2000億円の金融資産を動かした。グローバルに投資するファンド・マネジャーを経験した後、世界で展開する焼肉・韓国レストランを作りたいと思い立ち、09年に一念発起、38歳で独立した。父親のみならず、任社長本人も超絶エリートでビジネス・エグゼクティブの経歴の持ち主なのだ。