教科書や参考書をタブレットで読むようになると?

 学校教育におけるICT活用を推進する流れのなかで、2011年の初めあたりから、小中学校や特別支援学校などの現場でiPadを活用する事例が増えてきています。日本ではiPadを取り扱うソフトバンクグループが積極的に支援に動いており、米国ではアマゾンがiPadに追いつこうと死にものぐるいだそうです。

 日本ではまだまだ特別支援教育に軸足があるようですが、地方自治体のなかには、公立小中学校にiPadだけでなくデジタル教科書を導入する動きが出てきています。

 例えば、「【デジタル教科書(4)】iPad導入でわかったこと」という記事の執筆者(日本デジタル教科書学会の会長)は、現役の小学校教諭です。同氏によると、導入の課題は主に法律、環境、予算の3つであって、端末やコンテンツそのものにはとくに障碍は感じてはいないようです。もちろん、教える側の運用には、さまざまな工夫が必要です。

 同記事では、国語での実践事例が紹介されていますが、デジタル教科書の実用化を考えたとき、気になるのはやはり図表類の多い算数や理科、社会のデジタル教科書が読みやすい(使いやすい)ものになるかどうかではないでしょうか。

 しかしながら、[ファイナンス]の項で述べたように、版型が小さいとは言え「ブルーバックス」シリーズは実用の域に達しています。今後は児童文学や学術系書籍、絵本、図鑑も配信されていく予定です。デザイン・制作力については、早晩クリアされることでしょう。

 その上で、小中学生がiPadをはじめとする端末を日常的に使うようになれば、電子書籍の普及は確実なものになるはずです。民間企業が教育現場に直截手を出すのは難しいとは思いますが、参考書や問題集の電子書籍版を塾や予備校が活用するようになれば、流れは一気に加速するかもしれません。

ターゲットの本命は「女性×恋愛官能小説」かも?

 『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(原書名:FIFTY SHADES OF GREY)――英国のオバちゃん、E. L. James作の恋愛官能小説をご存知でしょうか? 「フィフティ・シェイズ」シリーズ3部作の一作めで、2012年4月に米国で3部作が(ほぼ)同時発売されました。作者が元々ネット上で連載していた小説をベースに書き上げられたものですが、なんと! 10月1日には電子書籍版を含めた3部作累計の販売部数が6300万部を超え、クリスマス直前には8000万部に達しています。

 日本では早川書房が上下巻(約800ページ)として翻訳を手掛けており、アマゾン(日本)では「文学・評論」の「ロマンス」部門でランキング1位となっています(2012.12.25時点)。