「働きやすいけど
出世しにくいのはJAL」

「働きやすいけど出世しにくいのはJAL」とJALのCAは言う。複数の声を集めた総合的な結論も「働きやすいのはJAL」「出世しやすいのはANA」である。

 フライトスケジュールの組み方、育て方はJALの方がゆとりがあり、ANAの方がごりごりという。JALの方が長く務めることを意識しやすく、ANAは一気に花を咲かせようというムードが強い。

 その結果、同じ便に乗務するCAのリーダー役を務めるチーフパーサーになるのは、ANAの方が早い。

 国際線チーフパーサーにたどり着くのは「ANAは早ければ20代後半。JALは早くても30歳くらいで、30代半ばでやっと」(日系大手CA)。JALは「上がつかえている」のだという。

 ANAにおいては、コロナ禍を機にCAの働き方を見直し、21年度から2年間にわたって勤務スタイルに選択肢を与える制度を導入した。従来のフルタイム就労から幅を持たせ、仕事量を8割だったり5割だったりに抑えるといった選択肢、国内線か国際線かその両方かの選択肢、オフ日の取り方への選択肢などを用意したのだ。

 この制度は働き方の多様化を促すもの。経営視点では、需要に応じ稼働力を適正化するメリットが生まれる。

「昔からこうした制度はよく議論に上がるけど、実際に導入するとなるとCAのフライトスケジュールを組むのがすごく大変。コロナ禍が終わっても続けるのかな?」と業界関係者。23年度以降の制度の取り扱いは検討が行われる。もし続けるのであれば、働きやすさと出世のしやすさの評価はまた変わってくるかもしれない。

「現場を続けたいCAは多いが、
ライフステージで希望も変わる」

 出世において、チーフパーサーになったその先は、チーフパーサーが率いる幾つかのチームを束ねるマネジャーのポストがある。ただそこまでたどり着くのは一握り。訓練を行う部署など、そのほかにも幾つかキャリアのルートはあるが、ポストが豊富なわけではない。

「現場をずっと続けたいというCAは多いが、ライフステージが変われば希望も変わる。別のキャリアを望んだときに転職だけでなく、今の会社で見いだせるチャンスがもっと欲しい」。そんな思いを胸に抱きながら、CAは笑顔で現場に立つ。

Key Visual by Noriyo Shinoda