──介護現場でのセクハラを理由に辞める人もいると聞きます。

Bさん:セクハラ問題は、線引きが難しい部分があります。利用者や家族との間で、波風をなるべく立てたくない施設も多く、「なかったことにする」という対応をしているところも少なくないのでは。特に認知症がある利用者となると、本人にその意識がない場合もある。私も施設で働いているとき、認知症の男性利用者の着替えや入浴、排泄介助のとき、お尻や胸を触られたりしたことがありました。「本当に気持ち悪いから嫌だ」と上司に泣きついたら、担当を男性に代えてくれましたが、「認知症だし仕方ない、忘れよう」という対応でした。

Aさん:今の80代は、セクハラという概念がない時代を生きた世代なので、そこまで大ごとと思ってなかったりもする。男性から女性だけでなく、女性から男性というセクハラもあります。しかし、どれだけ年を重ねても、若い男性が好きな女性は多いし、その逆も然り。「私の担当、○○さんにしてよ」と、お気に入りを指名したがる利用者は珍しくありません。

Cさん:わかります。キャバクラやホストクラブじゃないんだからって思うことがありました。若くて可愛い介護職員や看護師にはヘラヘラ優しいのに、50代の私が介助すると、ブスッとしている男性利用者もいて、「何様だよ!」とイラッとすることがあります(笑)。若い男性介護職員が来る日には、お化粧して甘い声を出すおばあちゃんとかはまだ可愛いんですが。

──クレームにはどのようなものがありますか?

Bさん:名指しでクレームが来たときには、「やってられない」という気持ちになります。こちらは一生懸命やっているつもりでも、「利用者を丁寧に扱っていない」「態度が偉そうだ」というクレームが寄せられたり。利用者から「さっさとしなさいよ」「またあなたなの?」など直接言われる分にはまだ良いのですが、つらいのは家族経由で“大問題”としてクレームを言われるとき。中には施設長宛てに長いクレームの手紙を書いて送ってくる家族もいました。