稲盛和夫氏の左手薬指に輝くエメラルドの高級指輪稲盛和夫氏(手前)の左手薬指には輝くエメラルドの高級指輪が Photo:JIJI

大の倹約家で知られた「経営の神様」稲盛和夫氏だが、指には美しいグリーンの輝きを放つエメラルドの宝石をつけていることが多かった。贅沢(ぜいたく)を嫌った稲盛氏がなぜだったのか。今回はその謎に迫りたい。(イトモス研究所所長 小倉健一)

稲盛和夫氏の倹約家伝説
吉野家で接待、日当たりの悪い自宅…

 戦後を代表する経営者で、「経営の神様」の異名を取る稲盛和夫氏は、大の倹約家で知られた。

 あるときは、元サッカー日本代表のラモス瑠偉氏との会食に牛丼の吉野家を選び、牛皿を分け合った(ダイヤモンド・オンライン『追悼・稲盛和夫氏、大事な接待に「牛丼の吉野家」を選んだ経営の神様の真意』)。またあるときは、中国出張の最中に路上で売られていた20円の栗を値切り倒して、結局買わなかった(同『経営の神様・稲盛和夫が「20円の栗を値切り倒して結局買わなかった」理由』)。

 そしてあるときは、中国人ジャーナリストから自宅に京セラ製の太陽光発電パネルを設置しない理由を問われ、「日当たりが悪すぎて設置できなかった」と回答している(同『稲盛和夫氏が京セラ製「太陽光発電パネル」を自宅に設置しない理由に中国人が驚愕』)。

 このように、人生を通してツッコむ隙がないぐらいの大倹約家だったのだ。

 しかし、そんな稲盛氏だが、指には光り輝くエメラルドの宝石をつけていることが多かった。美しいグリーンの輝きで知られるあの宝石だ。

 百貨店「三越」のショッピングサイト「MITSUKOSHI JEWELRY GALLERY」には、「5月の誕生石エメラルド」と題して、下記のような説明がある。

「エメラルドは新緑の季節にふさわしく深みのある緑が美しい宝石で、世界四大宝石の一つになります。古代エジプトの女王、クレオパトラはエメラルドをこよなく愛し、身に着けるだけでは事足らず、エメラルド鉱山までも持っていたと言われています」

「硬度が高いエメラルドではありますが、衝撃には弱いことから欠けることがないように角を切り取った八角形の『エメラルドカット』が採用されます。また、インクルージョン(肉眼で見える内包物)が含まれているという特徴がありますが、透明度を邪魔することはなく、一般的には色が濃いものほど価値が高くなります。ヒーリング効果があると言われる緑色のエメラルドの石言葉は心の安定がもたらす『幸運』や『幸福』です」(文は、高橋美子氏によるもの)

 さらに、「エメラルドの楽しみ方」として、次のように記されている。

「エメラルドのグリーンは鮮やかで目を惹き、他の色とも馴染みがよいために着こなしに合わせやすいと思います。黒、白、グレー、ベージュなどのベーシックカラーとも大変相性がよく、特にネイビーと合わせると、とてもシックなスタイルに仕上がります。黄色やピンクなどの明るい色であれば、エメラルドと相まってより華やかな印象になり、夏に向かう爽やかな時期におすすめです」

 5月の誕生石にふさわしい色合いということだろう。ちなみに、エメラルドの指輪(エメラルド0.77カラット、ダイヤモンド0.36カラット)は、日本橋三越店で、税込みで154万円で売られている。

 あの贅沢(ぜいたく)を嫌った稲盛氏はなぜ、高級宝石エメラルドの指輪をしていたのだろうか。今回は、その謎に迫りたい。