口コミの発生がリアルな販売に結びついた事例は数多くあります。そこには「口コミの内容をマスメディアが情報として発信する」という共通点がありました。これをもっと詳しく見ていくと、もう1つの共通点がわかります。それは「口コミを探したいという気にさせる」ことです。
ネット口コミは
ネットだけでは完結しない
「2ちゃんねる」から火がついた「恋のマイアヒ」のケースを思い出してみましょう。
2007年7月15日、「恋のマイアヒ」を歌うバンドO-ZONEが来日し、音楽番組の「ミュージックステーション」に出演しました。その放映後に口コミが一気に爆発、同時に口コミの閲覧数も急増しました。キャラクターのネコの動画サイトへのアクセスは放映日に100万アクセスを突破しています。ちなみに、テレビの映像にはこのネコの動画も登場していました。
「あの、テレビでやってたの何だろう?」
「ねえ、テレビ見た?」
「あのネコ何? どこで見れるの?」
「あの曲って、なんていうの?」
こんな会話が様々な場所で交わされたのでしょう。ネットの中だけではなく、リアルな口コミも同時に大量に発生したはずです。リアルな口コミから、「インターネットに情報があるらしい」と伝わり、ネットの口コミへのアクセスや書き込みが増えました。そして、これがまたリアルな口コミを起こしていきます。ネット口コミとリアルな口コミの循環が急速に展開した瞬間です。
もう1つの代表事例、「電車男」の場合はどうでしょう。ネットの口コミを見たことがない人でも、「電車男」の名前をご存知の方は多いと思います。では、「電車男」の話題をはじめに知ったのは何がきっかけですか?マスメディア報道ですか? 友人の口コミからですか? 実はネット以外のところで知ったという方が多いのではありませんか?
ネットユーザーはリアルな世界の生活者です。ですから、ネット口コミがネットだけで完結することはありません。口コミを読んだ人が実生活で語り、それがまた新たなネット口コミへのアクセスを呼ぶ。この循環の繰り返しです。
口コミが口コミを呼ぶ
サイクルを設計する
企業側の取り組みとして、下記のような「ネット」と「リアル」の口コミ循環の仕組みづくりがポイントです。
(1)口コミから商品についての話題を発見する
(2)マスメディアに情報提供し、口コミで発見した話題を一部露出させる
(3)広告、店頭、街角の情報提供を(1)の話題にからめて企画する
(4)ネット口コミに新たな情報を提供して、次の循環を促進する
(5)また(1)に戻る