ルノーがEV分社化を公表したのが今年2月のことだ。この間ルノーは連合を組む日産と三菱自にEV新会社への出資・参画を要請してきた。特に日産にはEV新会社へ15%程度の出資を要請するとともに、「日産との提携関係をより対等にする必要がある」(ルカ・デメオCEO)と日産への出資比率の引き下げについても交渉してきた。両社の資本関係が見直される歴史的な転換点にも結びついている。

 この日仏自動車連合は、そもそも90年代に日産が経営危機に陥った際に、仏ルノーが救済の手を差し伸べる形で99年に資本提携して以来長らく続いてきたものだ。99年にルノーが日産に出資した時は保有比率が36.8%だったが、02年に比率を引き上げるとともに(現在は43.4%)、反対に日産がルノーに15%出資して現在の資本関係へと続いている。16年には日産が業績不振に陥った三菱自に34%出資したことで、ルノーの子会社が日産、日産の子会社が三菱自という資本構成による3社連合に至っているのだ。

 日仏3社連合のかじ取りを担ったのが、ルノー・日産提携直後にルノーから日産に送り込まれたカルロス・ゴーン元会長であり、ゴーン氏による支配は長らく続いた。

 だが、ルノーは筆頭株主が15%出資しているフランス政府であることから、同社の動向には国策的な意向が常に見え隠れしてきた。ゴーン長期政権のひずみだけでなく、仏政府による「日産統合提案」が19年のゴーン突然の逮捕という出来事の前後にあったこと間違いない。1999年の資本提携から23年、ゴーン逮捕から4年が経過する中でこの日仏自動車連合は経営形態を変える大きな転換点を迎えている。