今年の年末商戦期は新型コロナウイルス禍前のようなムードが漂う。店頭には商品があふれ、小売業者は割引をちらつかせて買い物客を誘い込んでいる。これは、サプライチェーン(供給網)の混乱とモノ需要の高まりという価格高騰要因が解消され始めていることを示すものだ。また、インフレ率が今後数カ月で大幅に低下すると考えられる理由の一つでもある。発表がほぼ一巡した米小売企業の7-9月期(第3四半期)決算は、明らかに強弱感が入り交じった内容となっている。高所得者層をより多く取り込みつつ、納入業者には厳しい姿勢で臨んでいる小売り大手ウォルマートと、在庫管理をしっかり行っているように見える百貨店大手メーシーズは、投資家を喜ばせた。家電販売大手ベストバイも同様で、22日には、ホームシアターなどコロナ下で人気だった商品の需要減退により既存店売上高が減少したと発表したが、それでも予想は上回った。一方、ターゲットやコールズといった他の小売企業は、投資家の合格ラインに達しなかった。
米小売企業、在庫不足解消を手放しで喜べない訳
サプライチェーン問題が緩和し、消費者の物欲も薄れているため、物価上昇率はさらに下がりそう
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