――投資家向けコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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中国株の投資家はこのところ、ある疑問で頭がいっぱいだ。それは、中国政府が厳格な新型コロナウイルス対策と不動産セクターに対する規制を果たして緩和するのか、するとしたらいつなのか、ということだ。ここにきてようやく、変化の兆しが見え始めている。
だが、より構造的な難題がある。不動産とコロナ問題がベストな状態に落ち着いたとして、この先中国市場に投資することで、一体どれほどの利益が得られるのだろうか。
中国株のここ数年のパフォーマンスはひどいものだったが、今月に入って持ち直しの動きが見られた。中国政府が厳しいコロナ対策を若干緩和し、苦境にある不動産セクターへの支援を強化したことを受け、MSCIチャイナ指数は11月に21%上昇した。それでも、2021年前半の水準を5割超下回っており、過去10年間の上昇分をほぼ失ったままだ。
中国のコロナ政策と不動産市場が急転する可能性は低い。今月になって一部メディアや証券会社からは楽観論も出ていたが、足元の感染拡大と国内各地のロックダウン(都市封鎖)で、まざまざと現実を突きつけられることになった。それでも、最悪期は脱したというセンチメントが、おそらく今後数カ月は相場の支えになるだろう。それほど今の中国株は打撃を受けている。ファクトセットによると、ハンセン中国企業指数(HSCEI)の予想株価収益率は9倍と、ここ数十年で最低の水準に近い。