日頃から使える認知行動療法のABCDE

「認知行動療法」とか「CBT」とかいうと、いかにも専門的な響きで敬遠してしまいそうです。でも、実はとてもシンプルで子どもの習慣にも取り入れやすいので、次のようにやってみましょう。
 
●AとCの振り返り:

 まずは何が起きたのか、どんな気持ちになったかを書き出しましょう。たとえば、「A」は「仕事のプレゼンで失敗した」、「C」は「自分の能力の低さに落ち込んでいる」という具合です。

●Bを探し出す:

「A」から「C」に至らしめた自分の思い込みである「B」は何かを考えてみましょう。

 たとえば、前述の期末テストの例であれば、一度だけの失敗で自分の能力全体を判断してしまっている思い込みがあるのかもしれません。

 以前の記事で解説した11の心のネガティブな傾きを参考にしましょう。

●Bを批判的に見つめ直す:

「B」を認識して、自分のネガティブな心の作用の可能性に気づいたら、「そのネガティブな思考は本当に根拠があるのか」「その他に考え方がないか」など、「B」を批判的に見つめ直し、それ以外の考え方を模索してみましょう。

 これは「B」を「批判」的に見直す「Dispute」の「D」のプロセスです。

●改めて全体を見直す:

「B」を批判的に見直したら、そのうえで気持ちにどんな変化が起こったのか、ここまでのABCDのプロセスの「効果」つまり、「Effect」を振り返る「E」のステップです。

 このように、「A」(きっかけ)、「B」(ネガティブな思い込み)、「C」(結果した気持ち)、「D」(批判的な見直し)、「E」(振り返りの効果)の5つのステージを基礎にするので、この気持ちの振り返りの方法を「ABCDEモデル」と呼びます。

 このABCDEモデルのCBTは簡単に心の習慣として取り込むことができます。

 ちょっとネガティブになっているとき、意識的にABCDEを振り返って、自分を上手に見つめ直せるように意識してみてください。

 今回の内容など、ネガティブ思考との向き合い方をより具体的に知りたい方は、拙著「全米トップ校が教える自己肯定感の育て方」も参考にしていただければ幸いです。

【参考先】
*1. Hofmann, Stefan G et al. “The Efficacy of Cognitive Behavioral Therapy: A Review of Meta-analyses.” Cognitive therapy and research vol. 36,5 (2012): 427-440. doi:10.1007/s10608-012-9476-1
*2. Sælid, G. A., & Nordahl, H. M. (2017). Rational emotive behaviour therapy in high schools to educate in mental health and empower youth health. A randomized controlled study of a brief intervention. Cognitive Behaviour Therapy, 46(3), 196–210.