日本の部活動が変わろうとしている。スポーツ庁は、来年度から休日の部活動指導を、教員ではなく地域のスポーツクラブなどが行う形に移行する方針だ。これに伴い「地域」の在り方にも注目が集まる中、モデルにすべきと声が上がっているのがドイツの「フェアアイン」である。そこで、ドイツの地域コミュニティーに詳しい明治大学法学部専任教授の釜崎太氏に、フェアアインとはどういうものなのか、そして、日本の「地域」にフェアアインを導入することが可能かどうかなど話を聞いた。(清談社 小森重秀)
部活動の地域移行のモデル背景と
ドイツのフェアアインとは
今年6月、スポーツ庁の有識者会議「運動部活動の地域移行に関する検討会議」は、公立中学校の運動部活動の地域移行についてスポーツ庁に提言した。その内容は、2023年度当初から2026年度末までの3年間を改革集中期間として、公立中学校の休日の運動部活動の指導を段階的に地域に移行していくというもの。
国が部活動の地域移行を進める背景には、教員の働き方改革が求められているといった事情がある。2006年から2016年の10年間で、土日の部活動指導の時間が倍増したというデータもあるように、部活動指導は教員の大きな負担となっていた。そこで、地域単位で部活動指導にあたることで、教員の負担軽減を図ろうというのだ。
ここで言う「地域」とは、「地域のスポーツクラブ」を指す場合が多い。総合型地域スポーツクラブは、欧米のモデルを参考にして、地域コミュニティー活動を促進する目的で創設されてきた。部活動の主体が、学校から地域へと移行する上では、地域住民の協力が必要不可欠である。
この地域主体スポーツ文化の定着を図る施策に近い取り組みが、遠く離れたドイツに存在する。