ダイエットに試練の年末年始に向け今から準備!魚を食べて「脂肪」を増やすと効果的計太(けいた)/1989年、奈良県生まれ。大阪教育大学スポーツ科卒、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修了。専門は運動生理学。東京を中心にパーソナルトレーニングジム「ボクノジム」経営。論文の科学的データに自身の経験を組み合わせ、インスタグラムやツイッターなどで理論的かつ実践的なダイエットやトレーニングに関する情報を発信中。“2カ月後の減量よりも1年後の健康”をテーマにしたYouTubeチャンネルは登録者11万人(2022年1月現在)と人気を集める。また、公式LINEではダイエットに役立つ情報や動画を無料配信中

白色脂肪をベージュ細胞に変えるには?

 では、どうすればベージュ細胞を増やすことができるのか。そのカギとなる存在が、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)など、魚介類に豊富に含まれているオメガ3脂肪酸です。オメガ3脂肪酸の健康効果は、さまざまな研究で明らかになっています。ダイエッターであれば、肥満を抑制する効果が期待できることを知っているでしょう。さらに最近の研究では、オメガ3脂肪酸を長期的に摂取することで、白色脂肪細胞がベージュ細胞に変化する可能性があることが分かってきました。つまり、積極的に魚を食べてオメガ3脂肪酸を摂取することが、ベージュ細胞を増やし、エネルギー代謝のレベルを向上させ、ダイエットをはかどらせるのです。

オメガ3脂肪酸を根気よく取り続けよう

 オメガ3脂肪酸を摂取する上でポイントになるのは期間です。当然ですが、意識して魚を食べ始めたからといって、1~2週間で体重が減ることはありません。ただ、長い目で見れば、日常的に魚を食べている人と、まったく食べない人との間には大きな差が生まれるはずです。短期的な効果を期待するのではなく、適量を心がけて、魚を食べ続けることを心がけましょう。正月太りを防ぐには、今すぐ始めることをおすすめします。

 余談になりますが、YouTubeやインスタグラムでは「肩甲骨を動かして褐色脂肪細胞を活性化させ、代謝を上げよう!」といった情報を見かけることもあります。しかし、体の外側からの物理的な刺激によって、褐色脂肪細胞が活性化されることはありません。誤った情報に踊らされることなく、魚を中心とした食生活を続けて白色細胞をベージュ細胞に変化させることが大切です。

加工食品やサプリメントを賢く活用

 さて、魚中心の食生活を続けることのメリットは理解できたと思います。ただ、魚は調理に手間と時間がかかるもの。とりわけ、仕事で忙しい日々を過ごしているダイエッターにとっては悩ましい問題です……。そんな人は“サバ缶”のような加工食品を賢く取り入れましょう。魚の身だけではなく、ダシやスープにもEPAやDHAが含まれているので、しっかりと栄養を摂取できるよう工夫してください。

 サプリメントによる摂取も手軽で便利です。最近は魚油サプリメントもバラエティー豊かなので、栄養素の含有量などを見比べれば、きっと自分にぴったりのものが見つかるはず。「どうしても魚が苦手」という人や「水銀が含まれているのでは?」と不安を感じる人は、積極的にサプリメントを活用するようにしましょう。

魚中心の食生活がダイエットを前進させる

 白色脂肪細胞をベージュ細胞に変える働きがあり、コレステロール値や中性脂肪値を下げる効果もあるオメガ3脂肪酸。健康的なダイエットに欠かせない栄養素を、最も効果的に摂取できるのが魚です。また、アミノ酸スコア(※)の高いたんぱく質を豊富に含む魚は、低糖質・高たんぱくな食材としてダイエッターの“強い味方”になってくれます。毎日の食卓に魚料理を取り入れることで、あなたのダイエット生活がより健康的なものになると思います。

(※)必須アミノ酸が人間の身体にとって望ましい量に対してどれくらいの割合で含まれているかを示す指標。

(構成:加藤 徹)

AERA dot.より転載