野球の監督のイメージ写真はイメージです Photo:PIXTA

東京六大学2022年秋季リーグ戦。シーズンの掉尾(とうび)を飾る早慶戦は5X-4、9-6と早稲田大学が連勝した。この結果、優勝は明治大学。早稲田大は2位、慶応大は3位となった。11月5、6の両日ともに2万2000人の観客が見守った熱戦から時を経て、早稲田大・小宮山悟監督に話を聞いた。早慶戦のレビュー、そして次期チームの構想、2023シーズンへの展望である。(作家 須藤靖貴)

2022年秋季リーグ戦後
小宮山監督が向き合った「もう一つの敗因」

 慶応大は早慶戦に勝てば優勝。そういう相手に、早稲田は意気高く戦った。

 しかしそれでも、小宮山悟監督は「ベンチには2年前ほどの緊張感はなかった」と振り返る。2020年秋の早慶戦だ。早稲田はエース早川隆久(現・楽天ゴールデンイーグルス)を擁し、第2戦の9回表2死、1点ビハインドの土壇場で当時2年生の蛭間拓哉(今秋のドラフト会議で埼玉西武ライオンズから1位指名)の逆転2ランホームランが飛び出して優勝したゲームである。

「この秋は優勝が懸かっていないからこそ、伸び伸びとやれたのかもしれない。勝てば優勝という状況だったとしたなら、おそらくガチガチになっていた」

 最終的な順位にかかわらず、早慶戦の勝利は大いなる目標である。特に4年生にとっては、胸を張って卒業できる勲章だ。

 さらに小宮山は「チームが幸せになるには、どうすればいいか」に思いを巡らせていた。