学生にも会社にも「3つのメリット」
大手からスタートアップまで利用

 求人広告とスカウト型の一番大きな違いは、前者が「学生が会社の求人情報を探して応募する」のに対し、後者は「会社がサービス事業者を通じて学生に直接スカウトを送る」という点にある。

 求人情報はマス向けで、職を求める人なら誰でもアクセスできる。裏を返すと、会社サイドからすれば、「誰から応募が来るか分からない」という性質がある。一方、スカウト型は個人向けで、「会社が応募してほしい人を選び、声を直接かけられる」という特徴がある。

 スカウト型新卒採用サービス「iroots」を展開するエン・ジャパンで、新卒iroots事業部の事業責任者を務める田野岡陽介氏によれば、「学生側、会社側、それぞれに3つずつメリットがある」という。

 学生側のメリットの一つ目は、「効率の良さ」だ。学生は、授業やサークルなどをやりながら就活しなければならない。しかも、会社や業界に対する情報が少ない中、自分にあった会社を探すのに時間がかかってしまう。スカウト型なら、自ら求人情報を探さなくても、サービスに登録さえしておけば、関心を持った会社からスカウトが直接来る。それが時間短縮につながり、効率が良いというわけだ。

 さらに、スカウト型での応募なら、「書類選考を免除する」という特典が付くケースもある。学生からすれば、面接まで早く進めるため、そういう点でも効率が良い。

 二つ目は、「自分にマッチした会社と出会える」こと。学生がスカウト型を使う場合、自分のプロフィルを書いて提出することが求められる。そのプロフィルを会社の採用担当者がきちんと読み込んだ上で、「この学生の経験は当社のこの仕事に生かせそうだ」という判断をしてスカウトする。そのため、学生からすれば、自分にマッチしそうな会社に出会える確率が上がる。

 三つ目は「自分の視野が広がる」こと。スカウト型では、どんな会社からスカウトが来るか分からない。逆に言えば、志望していなかった会社や業界・業種以外の会社からもアプローチされる可能性がある。そこで、「自分の経験は金融業界にマッチすると思っていたが、IT業界でも生かせそうだ」という気付きが生まれれば、それだけ視野が広がる。

 一方、会社側のメリットの一つ目は、「待っていても応募が来ないような学生にもアプローチできる」こと。求人広告だと、そもそも応募が来るかどうかも分からないまま待ち続けなければならない。スカウト型なら、会社風土にマッチしそうな学生を自ら選べる。

 二つ目は、「優秀な人に出会いやすい」こと。会社が求める条件を絞って人材検索ができるため、その会社にとって優秀だと思える学生にアプローチできるという点で、“待ち”の求人広告よりも優秀な人に出会いやすい。

 三つ目は、「採用確度が高い」こと。プロフィルから人物の解像度を上げられるため、会社が採用したいと思える人、仕事にマッチしそうな人を選びやすい。また、スカウトの際に、学生に対して会社の魅力を見せやすくなり、それだけ採用確度を高められる。

 irootsでは、「こうしたメリット感じた大手優良企業や成長性の高いスタートアップ企業の利用が多い」(田野岡氏)という。