例えば、就職する子どもに「最初の1年はそれぞれ毎月5000円ずつ出してやるから、iDeCoとNISAの口座を開く手続きをせよ」と、給付金付きで、これらの初期設定を促すといいのではないだろうか。2年目以降は、子ども本人が継続するだろうし、金額は将来本人が自分の判断で増やしていくといい。呼び水としての「12万円」は親子双方にとって良い投資になるように思われる。

「50代」が正しい運用知識を持つことのプラス効果は、下の世代にも及ぶ。

新しいNISAの利用法は
つみたてNISAと同じでいい

 以上でご説明したように、「50代」が正しい運用知識を持つことの効果は、まず本人に有利に働き、さらに上下の両世代にも及ぶので極めて大きい。個々の職場単位で、また自治体単位やさまざまな自主的な勉強会などを通じて、必要な知識を学んでほしい。もちろん、独学も十分可能だ。

 なお、「新しいNISA」の効率的な使い方や利用上の注意点などについては、制度の細目が明らかになってから改めて書くことにしたいが、基本的な使い方は難しくない。

 一言で言うと「つみたてNISAが想定していた使い方について金額を拡大して行えばいい」ということだ。

 金融庁は、つみたてNISAの対象商品の選定に当たって「長期の資産形成に向いた商品」を選んだと言ってきた。長期というと、つみたてNISAは20年が投資期間だったが、今回の新しいNISAはそれが無期限になる。

 また、はっきり言って投資期間が20年よりも短期だとしても、ベストな方法は20年以上の運用と変わらない。「いつ、どのような運用がいいのか」について、運用期間を短くしてもその時々に判断ができるわけではないのだから、最善の方法は「長期投資で良い」とされる投資対象を持つこと以外にあり得ないのだ。

「長期投資に向かない商品は、短期投資にも向かない」。ほとんどの人にとって、新制度で「成長投資枠(仮称)」とされる枠での投資も、つみたてNISAと同様に、広範に分散投資された(全世界株式のインデックス投信をお勧めする)、手数料が安い(運用管理費用が年率0.2%以下の)投資信託だけでいい。「成長投資枠」という怪しい言葉に惑わされないことが肝心だとご注意申し上げておく。