親父さん:人の家の前で寝そべるな。いいか、ダイエットを試みると長期的には必ず体重が増加する〈2〉のと同様に、独学というのはほぼ確実に挫折する。
無知くん:チョット待って! 出だしからそれでは誰も読んでくれませんよ。ビジネス書みたいに「この本を読めば何でもとにかくうまくいくんだ」と読者をいい気分にさせないと(読者はその気分にお金を払っているのに)。ダイエットにまで流れ弾があたって書店が火の海になります。
親父さん:自分でいつでも始められて、いつでもやめることができるからこそ独学だろう。この自由さと、中途で挫折することは表裏一体だ。独学はいつだっ
てどこにいたって始められる。何度あきらめても、また戻ってくればいいだけの話だ。
無知くん:ちょっとはやる気があるみたいで安心しました。
親父さん:というお前は何様だ?
無知くん:で、どうして勉強のやり方を気にすると見込みがないんですか?
親父さん:聞いちゃいねえな。お勉強のハウツーなんてのは、せいぜい、似たような勉強本を粗製濫造するのに役立つだけで、少々効率がよくなったところで大した違いはない。あっても、せいぜい数倍程度だ。
無知くん:大違いじゃないですか。
〈2〉よく知られた研究ではDianne Neumark-Sztainer, Melanie Wall, Mary Story, Amber R.Standish(2012)“Dieting and Unhealthy Weight Control Behaviors During Adolescence: Associations With 10-Year Changes in Body Mass Index”Journal
of Adolescent Health, 50(1), 80-86.
この研究を行った研究者たちは、後にダイエットが逆説的な結果に終わる理由を4つにまとめている。1.体重を減らそうとする努力(=ダイエット)はごく短期的なものであり、運動の習慣や規則正しい朝食や食事内容の永続的な変更とは異なること。2.ダイエッティング・サイクルと呼ばれる負のサイクル(ダイエット↓飢餓状態↓強い空腹感↓過食↓再びダイエットの繰り返し)が形成されること。3.意識的な摂食コントロールがかえって脱抑制のリスクを高めること。4.ダイエットにより代謝が下がり、より太りやすい体質が獲得されること。
Dianne Neumark-Sztainer, Katie A.Loth(2018)“The Impact of Dieting”Eating Disorders and Obesity(Third Edition), Kelly D.Brownell, B.Timothy Walsh, USA, 109-115.