オチは「猫と暮らすのが一番幸せ」?

 もう少し、反応を追ってみよう。別のtogetterまとめ「最近話題の『未婚のまま40代を迎えると狂う』問題について『狂う奴は狂う』『逆に狂ってるから未婚のまま』など様々な意見」にも、多くのツイートがまとめられている。

 結婚に向いていない人や、そもそも人と一緒にいたい願望が薄い人もいるという意見があったり、「チベスナの顔で泣いている」(※チベスナ=チベットスナギツネ)などの悲哀も見られる。

 また、未婚が狂うというが、既婚で狂う場合もあるという意見もあった。「狂う」はネット特有の過激表現だが、確かに幸せな独身者もいれば、不幸せな既婚者もいる。相談者の妹は、要は自分に迷惑をかけないでほしいということを言っているわけだが、既婚者の血縁者であっても迷惑をかけてくる人はいる。

 このまとめには、猫と暮らす人たちによる「猫と暮らすのが1番だぜ」「猫と一緒に暮らした時点で人は狂う」などの写真付き投稿もあった。紛糾する議論も猫でオチをつければ傷つく人は少ない、というところがいかにもネットっぽい。また、結局のところ、そうそう変えられない個人の価値観によるところが多く、結論を見いだしにくいテーマであることを表しているようにもみえる。

「結婚しないまま…」は、
アンコンシャス・バイアスの表れでもある

 ところで、この話題を、先日内閣府の男女共同参画が発表したジェンダーバイアス調査と並べてみると興味深い(参考:『「男性から昇進すべき」と若い男性ほど回答、内閣府調査に透ける意外な本音』)。

 この調査では、性別によるさまざまな無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)がどれほどあるかについて、年代別・性別に分けて調査をしている。

 結婚に関するアンコンシャス・バイアスに関しては、「男性は結婚して家庭を持って一人前だ」がある。これは、「結婚しないまま40代になると気が狂う」言説と似た部分があるだろう。これを「アンコンシャス・バイアス」として調査している。

 結果は、男性の30.3%、女性の17.9%が「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答。特に年代が上がるほど、肯定的な意見が増えており、50代男性の33.4%、60代男性では38.4%が「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答している。

 この調査では、「女性は早く結婚した方がよい」といった、女性と結婚を関連づける調査項目がないため、女性と結婚にまつわるアンコンシャス・バイアスの程度についてはわからない。が、一昔前までは「女性はクリスマスケーキ(25歳をすぎると賞味期限切れ、の意味)」とも言われていたことから、この項目があった場合は「男性は結婚して家庭を持って一人前だ」と同等ぐらいには肯定意見が集まるのではないだろうか。

 一点思うのは、一昔前までは女性は20代、男性は30代ぐらいまでに結婚していないと……という風潮が強かった。今回話題になっているのは「結婚しないまま40代になると」であり、晩婚化をここでも感じる。結婚を人間的な成長と結びつけて考える人(どちらかといえば古風で保守的な考え方と言って差し支えないだろう)にとっても、「結婚適齢期」は徐々に上がっているのだと感じられる。