生徒と話して“空気”を感じる

――親としては待つことが一番難しい。「忍の一字」ですが、我慢して放してあげることだとは思っています。では最後に、受験生の保護者に伝えたい言葉をお願いします。

鵜崎 いまの大人に余裕がない。そのことが子どもに敏感に伝わります。自分はこうならねばならないとか、期待されていることを自覚します。そうするとどうなるか。自分はどうなのかを、周りの人と比べだす。自分は良いのか悪いのか、できるのかできないのか。他の人よりよくできるから良いと受け止めるのは残念なことです。そうすると、私には良いものは何も与えられていないと結論付けてしまう子が出てしまいますから。

 自分の中にある芽、与えられているものに気付きがあると、そこに余裕が出てきます。そういうものを切り捨てずに、目を向けて大切にしてほしいと思います。

梶取 本当にその通りで、人と比較するとそこからつまらない争いが生まれます。アメリカの大学に偏差値はありません。以前、アイビーリーグを見に行きましたが、求めるものが違うので、偏差値には意味がない。

 ご家庭では、お子さんの味方になってください。生徒は自分の親をすごく褒めます。試験の点が悪いと、親に対して申し訳ない気持ちになります。学校で過ごすのは短時間で、先生の前、友人同士、親に対して見せる表情が違っていて当たり前です。お子さんに寄り添ってください。

――校長先生から見て、学校選びのポイントとは何でしょうか。

梶取 まず、学校に来ていただきたい。学校説明会や校内見学会では生徒が案内しますが、生徒は勝手にいろいろなことをしゃべります。それで自分に合うと思った気に入った学校に行けばいいと思います。私は私学の研究会で、「20年後の私学を考える」をやっていますが、どの学校にも素晴らしい先生がいらっしゃいますから。

鵜崎 生徒の様子を見ていただきたい。生徒が楽しんでいるか、登校することを喜んでいるかを大きな指標にして、空気を読み取ってほしい。表面的なことが宣伝文句になってしまいますが、本質的な部分、その学校が何を大切にしているかを読み取っていただきたいと思います。

 偏差値で範囲を絞るよりも、学校の考え方や教育理念でグループをつくり、その中でどうしようかなと考えてほしい。そして何よりも、お嬢さんが魅力を感じているかどうか。保護者と意見が食い違うこともあります。学校説明会で「娘は共学校に行きたいといっています。でも私は、どうしても女子学院に入れたいと思います。どうやったら娘がこの学校を気に入ってくれるようになるのでしょうか」と相談されることもありますが(笑)、まず学校を見させてください。生徒と接する機会を与えてあげてください。いまでは塾でもOGがかなりホンネで話してくれると思いますから、その空気を感じ取ってください。

――“空気”というのは非常に大事なポイントだと思います。外資系コンサルティングでの仕事の経験からも、組織の風土はなかなか変わらないものだと思います。創立者の歴史をひもとくことも学校を知るには大事だと思います。

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