ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。

「キューバってどんな国?」2分で学ぶ国際社会Photo: Adobe Stock

キューバってどんな国?

 キューバはカリブ海に浮かぶ島国で、フロリダ半島南端から約166kmに位置します。2013年には64歳の女性がこの海峡を泳ぎ切ったことがニュースとなりました。

 このようにキューバとアメリカの実際の距離はたいへん近いですが、社会的・経済的には「遠い」状況でした。

 キューバは、1492年にコロンブスが到達して以来、約400年間にわたってスペインの植民地でした。

 19世紀に入って世界中の植民地で独立戦争が起こる中、キューバでも二度の独立戦争が起こり、1898年に勃発した米西戦争の結果、スペインがキューバを放棄すると、アメリカの援助で独立を達成しました。

 しかし、1959年にキューバ革命が起こると、アメリカとの国交は途絶えます。フィデル・カストロの指導の下で土地改革や外国企業の接収が行われ、平等な社会の実現が掲げられました。教育改革や医療改革も行われ、国民の生活水準は向上しました。

 一方で、個人の自由は制限され、多くの知識層はアメリカに亡命しました。そのため、フロリダ州マイアミ市は「北のハバナ」といわれるほどです。

 2008年、革命を指導したフィデル・カストロは引退。弟のラウル・カストロも2021年に引退し、革命世代は政治の一線から離れました。

 革命世代の最後の仕事はアメリカとの関係改善でしたが、2015年にアメリカとの国交を回復しました。今後の歩みが注目されます。

「キューバってどんな国?」2分で学ぶ国際社会カリブ海の国々

キューバ共和国

面積:11.1万km2 首都:ハバナ
人口:1103.2万 通貨:キューバ兌換ペソ
言語:スペイン語(公用語)
宗教:キリスト教58.9%、民間信仰17.6%

(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照

(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)