自衛官が有事の際に重要施設でドローンを飛ばすときも
48時間前に警察へ通報が必要
ウクライナ戦争を機に急速にドローン導入へとかじを切り始めた自衛隊だが、実は運用できる体制になっていない。その深刻な問題の一つが有事の際でも大型の機体も含めてドローンを小型無人機等飛行禁止法が指定する重要施設周辺で飛ばす際には48時間前までに警察への通報が必要となっていることだ。防衛省、警察はダイヤモンド編集部からの取材でこれを認めた。
この不可解な規制が最前線の自衛隊駐屯地や米軍基地から東京の皇居や官邸までなされており、災害派遣時にドローンを飛ばすことを断念した事例も実際にあるという。
つまり中国軍が与那国や対馬に上陸してきた際にも、自衛隊は警察に48時間前に通報しなければドローンを飛ばせないのだ。中国軍は情け無用で自由に飛行できるのに、だ。
これは新たに電気自動車を導入しようとする途上国が、電気自動車だけを大量に買い込んで、発電所も、電気スタンドも、整備工場も、技術者の育成も、まともな道路も用意していないのにガソリン車を廃止しようとするのと同じだ。もしくは子供に参考書だけを大量に与えれば東大に合格すると信じる両親のように。
このため自衛隊のドローンは、ロクに機能しない状態になっているのが実態だ。例えば自衛隊が採用している小型ドローン「Anafi」のような民生品のドローンについて、中国の工作員は日本国内で数キロメートル先まで飛ばせる。対して自衛隊は貧弱な周波数と無意味な国内規制によって数百メートル先までしか飛ばせない。こうした問題は数多くあり、その中でも深刻な規制の一つが、この小型無人機等飛行禁止法だ。