●赤い糸が「赤」である理由

 この話が日本に入ってきて、縄から糸に、足首から約束を結ぶときに使う小指に、「婚姻」は「運命の人」という表現に変化して伝わったと考えられます。

 赤は昔の中国では幸せを呼ぶ尊いものとして考えられていました。中国のお正月や結婚式では「赤(紅)」をとてもよく使います。

 赤は強さを表現する代表的な色です。「運命」という強さと中国の婚礼を表現するなら、赤以外の選択肢はないのでしょう。糸は見えなくてもそこには「強い」運命があるという考えです。

口紅の本当の意味
様々な意味が加わってきた歴史

●口紅の歴史

 口紅の歴史は古く、紀元前数万年前から、人類は悪魔が口や耳から入ってこないように、赤いものを塗る習慣があったといいます。赤のもつ強いパワー(イメージ)が魔除けとして使われていました

 紀元前3000年頃の古代エジプトでの口紅は呪術的な意味が強く、次第に装飾的な意味が加わっていったのです。16世紀ルネサンスの時代になると装飾の意味合いが強くなりました。絵画の世界では優れた技法が誕生し、同時に装飾的で色鮮やかな服飾文化が広がっていくと、口紅の色もより鮮やかになっていくのです。17世紀では、薔薇色の頬と口紅が美しいとされるようになりました。

●現代における口紅の意味

 日本では明治時代以降、メイクとしての口紅が浸透していきます。現代の口紅は「自己表現」「身だしなみ」「恋愛機能」の意味があります。

 自己表現のため、微妙な色の商品が多数存在し、自分らしい美的表現ができるようになっています。身だしなみとは、口紅をひくことが社会人女性のマナーとして慣習化されている側面があります。

 また、恋愛機能(子孫繁栄)として口紅が果たす役割もあります。唇の色に魅了され、影響を受ける男性は多くいます。赤い唇は男性を引き寄せる道具にもなるのです。