「自力整体」とは、整体プロの技法を自分におこなう人気メソッドです。現在1万5000人が実践中。「久しぶりにぐっすり眠れた!」「10年間苦しんできた慢性痛から解放された!」「健康的にダイエットできた!」と絶賛の声が続々。「3分以内でできる悩み解決ワーク」を集めた著書『すぐできる自力整体』も好評。著者の矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語ります。今回は朝まで目覚めず熟睡できる自力整体を紹介します。
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
(写真/榊智朗 構成/依田則子)

夜中トイレに行きたくて目覚める人はやってみて。整体プロが教える「たった1つの熟睡習慣」

夜間頻尿は水毒かも?

「夜中トイレに行く回数が増え、眠りの質が悪くなった……」

そんな悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。私の本の執筆で「自力整体」を体験していただけるモニターさんを募集したときも、実施から3ヵ月後、「夜中、尿意で目覚めなくなったのが何よりうれしい!」という感想を多くいただきました。

中でもダイエット目的で参加されたFさん(41歳・女性)は印象的でした。40代になってから太りやすくなり、さらに夜中トイレに行きたくて目覚めることが多くなり、一度起きると朝まで眠れないという悩みを抱えていました。

彼女はかわいらしい「ふっくらタイプ」。しかし健康的な「ふっくら」ではなく、余剰水分や滞留便をためこんでいる状態でした。肌の表面はカサカサで、毛髪もうるおい不足。水分バランスの乱れが見られました。

話をうかがうと、冷え、むくみ、ひざ痛、便秘と下痢を繰り返すといった、典型的な「水毒体質」でした。水毒とは、体に水が過剰にたまり、冷え、むくみ、頻尿などの悪さをする状態につかう東洋医学の言葉です。水毒体質になる原因は水分の過剰摂取や筋力低下など様々です。

朝まで目覚めず熟睡できる「足先の経絡のほぐし」

そんなFさんに多めに実践していただいたのは、保水と排泄のバランスを整える「足先の経絡のほぐし」です。足先には東洋医学の治療で使われる12本の経絡(気が流れる川のようなもの)のうち6本も通っています

足先の気の流れが良くなると、停滞していた水分が全身をめぐり、膀胱もすっきり。夜間のトイレ問題も解決。朝まで目覚めることなく熟睡できるようになったのです。

代謝力・排泄力もアップして、冷え・むくみ・便秘・下痢・乾燥肌・毛髪のぱさつきも改善されました。

では最後に、Fさんも取り入れた「足先の経絡のほぐし」のワークを紹介しましょう。とくに12本の経絡のうち「脾経(ひけい)」(図参照)を刺激します(*ワークはあくまで一つの事例であり症状を根本から解決するには12本の経絡の詰まりをまんべんなくほぐすとよいでしょう。方法は『すぐできる自力整体』ほか本連載をご参照ください)

ワークは次のとおりです。

朝まで熟睡「足先の経絡のほぐし」のワーク

画像を見ながらおこないましょう(※画像は書籍『すぐできる自力整体』より)。

夜中トイレに行きたくて目覚める人はやってみて。整体プロが教える「たった1つの熟睡習慣」
夜中トイレに行きたくて目覚める人はやってみて。整体プロが教える「たった1つの熟睡習慣」

◎「足先の経絡のほぐし」のワーク

【手順1】
◆手の親指以外の4本指で、足の親指を引っ張り上げる
◆しばらく刺激を感じる

【手順2】
◆足の親指を外側にゆっくり大きく回す
◆体も前後にユラユラゆらす

※時間に余裕のある時は、書籍『すぐできる自力整体』で紹介している「驚くほどほぐれる4つのコース」(QRコードからスマホで視聴できる動画つき)も不眠・夜間頻尿・冷え・むくみ解消に役立ちます。

『すぐできる自力整体』では、この他にも、整体プロの技法を使って、コリや痛み、ゆがみを解消するワークを多数掲載しています(★35分の動画も収録)。

夜中トイレに行きたくて目覚める人はやってみて。整体プロが教える「たった1つの熟睡習慣」矢上 真理恵(やがみ・まりえ)写真左
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』(ダイヤモンド社)がある。

監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗