中古マンションを売る際は、大手の仲介会社に頼むのが一般的だろう。だが、多くの大手仲介は「両手取引」(買い手と売り手の両方から手数料を得る)を行っている。

 この取引形態では、仲介会社は物件をそこまで高く売らなくても、買い手と売り手の両方から収入を得られるわけだ。そのため販売価格は相場並みになってしまい、結局あまり高く売れないケースがある。

 一方、売り手側と買い手側を別の仲介会社が担当する「片手取引」(依頼者だけから手数料を得る)であれば、こうした事態を防げる可能性が高まる。売り手側と買い手側の仲介会社が、お互いにとってベストな価格(落としどころ)を目指して交渉してくれるからだ。

 中古マンションを売りたい人は、この片手取引で高値を目指す仲介業者と組み、「高過ぎず安過ぎず」の適正売り出し価格を設定するといいだろう。筆者の肌感覚として、この手法を駆使すれば相場より7%程度高く売れているので、これだけで数百万円は違ってくる。

「売る前提」で新築物件を買う場合は
損失リスクに要注意

 新築マンションに話を戻そう。今年は、価格高騰で新築の億ションも増えた。しかし、億ションは買っていい場所とそうでない場所が明確にある。相場が上がれば、高額で売れるエリアは広がると安易に考えてはいけない。

 本連載の『億ションで買ってもいいのは「東京の9区」のみ、損しない物件“3要件”とは』で書いたように、その範囲は意外に狭い。買うのは簡単だが、売るのは難しいのが億ションなので、気を付けてもらいたい。

 また今年は、都市圏のマンション価格の高騰を受け、地方都市でのマンション供給も増えた。だが都市圏とは異なり、地方都市のマンションは値下がりしやすい。その最たるものがリゾートマンションだと思ってもらうと分かりやすいかもしれない。

 どの程度下がるかは都市によって異なるが、その計算は自分でもできる。その方法は『地方マンションを安易に売買する人の末路、高リスク物件を見抜く方法とは』に書いたので、気になる人は読んでみてほしい。

 この計算をせず、住宅ローンの金利額を上回るペースで「物件の価値」が失われていくマンションに住んでしまうと、物件を「売りたい」と思ったときに響いてくる。居住年数が一定のラインを越えると、「物件に付いた値段が住宅ローンの残債を下回っている」というケースが起こり得るのだ。

 その場合は、物件を売ると損をしてしまい、安易に引っ越しができなくなるので、リスクは非常に高い。その分岐点は理解しておいた方がいい。