ENEOSPhoto:123RF

行動制限が解除され、入国制限も大きく緩和されるなど、人々の生活は少しずつ「コロナ前」に戻りつつある。だが、一難去ってまた一難。ビジネスの世界では、円安や資材高が多くの企業を混乱の渦に巻き込んでいる。その状況下で、好決算を記録した企業とそうでない企業の差は何だったのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はINPEX、ENEOSホールディングス、出光興産の「エネルギー」業界3社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)

INPEX・ENEOS・出光興産が
「原油高バブル」で5~7割の大増収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のエネルギー業界の3社。対象期間は22年5~9月の四半期(3社いずれも22年7~9月期)としている。

 各社の増収率は、以下の通りだった。

・INPEX
 増収率:71.1%(四半期の売上高6003億円)
・ENEOSホールディングス
 増収率:53.1%(四半期の売上高3兆8389億円)
・出光興産
 増収率:66.8%(四半期の売上高2兆6094億円)

 エネルギー業界の主要3社はいずれも、前年同期比で約5~7割の大幅増収だった。

 中でも、INPEXは第3四半期累計で営業利益が倍増し、他の2社も第2四半期累計で営業利益が2桁増となるなど、利益面も絶好調である(INPEXは12月期決算、他の2社は3月期決算)。

 前四半期の記事でも解説した通り、各社が驚異的な業績を記録している要因は、昨今の原油価格の高騰と円安によるプラス効果である。

 これらが追い風となり、3社はそろって「6四半期連続」で増収を達成しているが、その大半が3~8割の2桁増収だ。この間、各社の増収率が1桁台に落ち込んだことはない。

 INPEXに至っては、21年10~12月期(前年同期比121.7%増)、22年1~3月期(同99.2%増)、22年4~6月期(同140.7%増)と、直近の3四半期連続で売上高が2~2.4倍になるほどの増収率を叩き出していた。

 また、3社はいずれも、足元の業績や原油価格・為替レートの見通しを踏まえ、23年3月期の通期業績予想を修正した。

 だが意外にも、好調が続いているはずの3社の中には、修正後の業績予想で「営業減益」や「最終減益」を見込んでいる企業が存在する。

 大幅増収が続き、利益面も堅調であるにもかかわらず、減益を予想している企業はどこか。また、その要因とは。次ページで、各社の増収率の推移と合わせて解説する。