後悔は誰もが感じるもの
自分の後悔と対峙しそこから学ぶ

――人は死が近づくと、「もっとやりたいことをやればよかった」という後悔を感じがちだと言われています。

ダニエル・ピンク氏4

ピンク 80歳になってから、起業する勇気がなかったことを悔やんでも、実現はなかなか難しいだろうが、人生のほかの部分で大胆な行動を取ることはできる。もっと旅をするとか、コミュニティーに献身するとか、自分が過ちから学んだ教訓を子供や孫など、若い世代に語り継ぐといった具合に。

 あらゆる後悔を正すことはできないが、後悔から教訓を引き出し、人生のほかの部分に生かしたり、後世に伝えていったりすることは可能だ。読者の皆さんには、そうしたこともできないほど死が間近に迫る前に、人生のもっと早い段階で後悔について考え始め、後悔と対峙してほしい。

 より幸せな人生を送るには、後悔から目を背けてはいけない。だが逆に、後悔という感情に埋没してもいけない。後悔と対峙し、後悔から学び、後悔をバネにして将来の成長につなげていく。そして、自分の人生にとって大切な後悔にフォーカスし、それ以外は思いわずらわないことも大切だ。

――日本の読者にメッセージを。

ピンク 繰り返すが、まず、後悔は誰もが感じるものだという認識を持つことが重要だ。後悔は、人間を人間たらしめるものにほかならない。そして、後悔は私たちに学ぶチャンスを与えてくれる。

 次に、少しだけ「勇気」を出して、自分の後悔を人に話してみよう。後悔から何を学んだか、後悔を利用して人生をどうしようと考えているのかを伝えるのだ。そうすれば、そこから豊かでパワフルな会話が生まれるだろう。