「0.25%の許容幅の拡大」はまさにギリギリの譲歩
日銀にはまだ約11兆円の引当金+準備金があるため、0.25%を死守している限り、「債務超過」という事態には陥りません。
撤退した0.5%の防衛ラインは、「債務超過」が起きてしまうラインとなります。これは最後の防衛ラインです。それを破られると、債務超過はどんどん拡大してしまいます。
12月2日の参議院予算委員会で、浅田均参議院議員が、「全期間で同じレートだけ金利が上昇したら、日銀保有国債にいくらの評価損が発生するか?」という質問をしました。それに対して雨宮正佳日銀副総裁は、「1%の金利の上昇で28.6兆円、2%で52.7兆円、5%の上昇で108.1兆円、11%上昇で178.8兆円の評価損になる」といった趣旨の回答をしました。
これは、驚くべき数字です。つまり、たった1%の金利上昇で、日銀の引当金+準備金は吹き飛んでしまうのです。
そう考えたとき、今回の変動許容幅の拡大は、日銀にとってはまさに雑巾を絞るようにして出てきた政策だということがわかるでしょう。