良かれと思った先回りの「おもてなし」が誤解された?
なぜ筆者がこのように考えるのかというと、日本にいる外国人からたびたびこの手の不満を耳にするからだ。
たとえば、ある欧米人は、日本の老舗割烹に行って本格的な懐石が食べられると楽しみにしていたら、頼んでもいないのに箸ではなくフォークやスプーンが並べられていたという。ちょっと一言、「箸ですが大丈夫ですか?」と質問をすればいいのに“先回り”をして、「どうせ外国人なんだからこっちの方がいいでしょ」という先入観の押し付け的な“おもてなし”を強要されたことに失望していた。
もちろん、店側は良かれと思ってやっているので悪意はない。だが、外国人の立場では、「なんで日本の宿やレストランは客側の要望を聞かずに、自分たちの考えを押し付けるの?」とモヤモヤする。こういう“一方的なおもてなし”への不満は非常によく聞く。
外国人観光客の対応に慣れて、外国語対応もできるような寿司店ならば、大将が「わさびはどれくらい入れますか?」と質問をしながら寿司を握ってくれるだろう。しかし、外国人観光客が大挙して押し寄せる寿司チェーン店は、客をどんどんさばいていかないといけないので、中国人はわさびたっぷり、韓国人は少なめ、などきめ細かい対応などしていられない。
そのため、「外国人観光客=わさびがたっぷりの方が喜ばれる」というマニュアルに基づいて説明ゼロの“一方的なおもてなし”に終始してしまう。日本語が得意な韓国人なら文句も言えるし、「少なくして」とリクエストもできすが、そうでない観光客の場合は「もしかして嫌がらせされている?」と不安になるのも当然だ。
事実、「わさびテロ」を指摘した韓国人観光客と店は何もコミュニケーションをとっていない。大量のわさびを前にしても、韓国人観光客は店にクレームを入れていない。「自分は何かのミスだと思ったが、その後、アルバイト員が回収して行った皿を見た調理人の顔を見て、故意性があると判断した」という。おそらく、調理人が笑ったところなどを見て、「悪意がある」と感じたのだろう。
そうなると、この「故意性」というのもかなり微妙だ。この調理人は「あれ?食べずに残している?外国人はわさび好きなはずだけど、苦手な人もいるのか、しまったな」なんて感じて、気まずさを誤魔化すための愛想笑いをしただけにすぎないかもしれないのだ。
…といろいろ考えてみたものの、一方でもうひとつの可能性も否定はできない。そう、韓国のネット民たちが指摘をしているように、韓国に対して悪意をもった調理人が、意図的に嫌がらせをしたというものだ。