就活で役に立つのは
一次情報、公式情報のみ

 ただし、ひとつ大事なポイントがあります。必ず企業がアップした公式の説明会動画や、公式な場で発信した情報に触れるようにしてください。こと就活に関しては(それ以外のことでも案外そうなのですが)、公式情報、一次情報、一次資料でなければ役に立ちません。就活で得る情報で信じられるものは、基本的にあなた自身が直にその企業に出向いて、説明会、セミナー、インターンシップ、面接などで見聞きしたこと、直に会ったことのあるOB・OGや企業の担当者の言動、その企業が公式HPや公式アカウントで発信しているコンテンツだけです。社員と称する匿名の人が書いたブログやSNS上の悪口、噂話などには、耳を貸さないのが賢明です。

 YouTubeなどでは、一見便利そうな「まとめ動画」「切り抜き動画」などがあります。また、「A社の社員はこうだ」などと面白おかしく決めつけるような、品のよくない就活コンテンツもたくさんアップされています。

 たとえば、同業他社を何社か集めた比較動画などでは、短い時間で各社の特徴を一言で表現したり、「A社は官僚的」「B社は下剋上が激しい」などと小気味よく一刀両断したりと、軽妙洒脱な語り口で特徴を語っているものもあります。「言い得て妙」と感じるものもあるかもしれませんが、それは100%動画作成者の主観です。その企業について知りたければ、第三者の主観ではなく、あくまで企業が発信した直接の情報を、あなた自身が自分の目と耳で理解することが大切です。

 私たちは、日々周到に計算された消費者向けの心地よいコンテンツや、話の上手な芸人や解説者のコメントに慣れています。それと比べて、企業が発信する説明会動画の多くは、等倍速で見続けるのがつらいこともあるかもしれません。企業担当者にも話が上手な人はいますが、必ずしも動画で魅力的に語ることに長けているわけではないからです。

 当然ですが、あなたが受験する企業はコンテンツ制作企業やメディア関連企業でもない限り、面白い動画を作ることが仕事ではありません。説明会動画の見応えや面白さと、その企業の優良さや働きやすさは全く比例しません。たとえ説明会の動画が冗長であっても、莫大なお金をかけて制作されていなくても、隠れた優良企業はたくさんあるということを覚えておいてください。

 次回は、冬インターンの受け方についてお話したいと思います。

(ダイヤモンド・ヒューマンリソース HD首都圏営業局 局長 福重敦士、構成/ライター 奥田由意)