政府によるコロナ政策などにより倒産件数の歴史的な低水準が続く中、2022年の全国企業倒産が3年ぶりに前年を上回った。さらに原油、燃料、原材料などの仕入れ価格の上昇を価格転嫁できずに倒産する「物価高倒産」は過去最多を記録。さらに令和以降に設立された企業の倒産も急増している。今年は倒産の増加傾向が昨年以上に鮮明化しそうだ。(帝国データバンク情報統括部 阿部成伸)
倒産件数は歴史的な低水準だが
負債総額は前年比で2倍に
2022年の全国企業倒産(法的整理、負債1000万円以上)は6376件となり、3年ぶりに前年を上回った。ただ、長い期間で見ると1965年(5690件)、1966年(5919件)、2021年(6015件)に次ぐ歴史的な低水準で、2021年と同様、コロナ政策による倒産の大抑制が続く結果となった。
一方、負債総額は2兆3723億8000万円となり、2021年(1兆1633億900万円)の約2倍となった。
これは6月に民事再生法を申請したマレリホールディングス(株)(埼玉)の負債が1兆1633億900万円となり、6376社全体の49.0%を占めたためだ。
上場企業の倒産が2年ぶりに発生した。バイオベンチャーのテラ(株)(東証スタンダード)が8月に破産手続き開始決定を受け、負債は1億8700万円となった。この負債額は2000年以降に発生した上場企業倒産(187件)のなかで、日本エルエスアイカード(株)(当時大証2部、大阪、負債4800万円)に次ぐ小規模となった。