「企業間の訴訟」が4年で3割減、コロナだけじゃない“裁判沙汰”激減の理由民事・行政事件の訴訟件数が、約20年で半減している。その理由とは。そして、コロナ禍を機に企業間訴訟はどう変化したのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

民事・行政事件の訴訟件数が、約20年で半減している。その理由は何か。そして、コロナ禍を機に企業間訴訟はどう変化したのか。東京商工リサーチ(TSR)が保有する訴訟データベースを基に分析した。(東京商工リサーチ情報部 小川愛佳)

企業関係の訴訟は
4年間で約3割減少

 経済のグローバル化による取引の複雑化などにより、司直に公正な判断を仰ぐケースが増えている。判決次第では信用や経営に致命的なダメージを及ぼすこともある。それでも訴訟は企業戦略上、避けて通れない存在であることに変わりはない。

 日本弁護士連合会の「弁護士白書」によると、日本の弁護士人口は2022年現在4万4101人で、20年前の2002年(1万8838人)から2.3倍に増えた。一連の司法制度改革により新司法試験が導入され、司法試験合格者が大幅に増えたことが背景にある。

 ところが、裁判所の「司法統計」によると、民事・行政事件の訴訟(新受)件数は2003年の352万件をピークに減少傾向が続いている。コロナ前の2019年の訴訟件数は152万件だったが、コロナ禍の2021年はさらに137万件まで減少した。

 訴訟案件だけが弁護士の仕事ではないとはいえ、20年で弁護士の数は2倍以上増えたにもかかわらず、訴訟件数は2分の1以下に減ったのはなぜか。そして、コロナ禍を機に企業間訴訟はどう変化したのか。