ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
ブラジルってどんな国?
ブラジルは南米大陸最大の国土面積(世界第5位)を持つ国で、フランス領ギアナ、スリナム、ガイアナ、ベネズエラ、コロンビア、ペルー、ボリビア、パラグアイ、アルゼンチン、ウルグアイと国境を接します。
北部には南米最長のアマゾン川が流れ、「セルバ」と呼ばれる広大な熱帯の森林地帯が広がります。ボリビア、パラグアイにまたがるパンタナルは世界最大の湿地帯です。
南部には国土の6割を占めるブラジル高原が広がり、その大部分が温帯に属し過ごしやすいため、人口が集中しています。
1908年から日本人の移住が始まりました。移民の多くはコーヒー園での労働に従事し、貯めた資金で土地を購入して自営で農業を営む者も出ました。1950年代からは工業化の進展にともない工業技術者の移住も見られるようになりました。
1970年代になると、移民船による集団移民はなくなりました。日系人は150万人とも200万人ともいわれていますが、数世代を経て混血が進んでいます。
豊富な地下資源などを基盤に1990年頃から急激な経済成長を遂げ、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国とともにBRICsと呼ばれるようになりました。南米最大の経済規模を持ちますが、2007年の世界金融危機の影響で経済は停滞しています。なお、豊富な水資源を利用した水力発電は総発電量の60%以上を占め、世界トップクラスの割合です。
リオのカーニバルは、ヨーロッパとアフリカの文化が融合した世界最大級の祭り
カーニバルは、もともとはキリスト教のカトリック教会によるお祭りで、肉食を禁じた復活祭に先立って行われます。17世紀にポルトガルの移民によって謝肉祭が持ち込まれ、
20世紀前半にサンバの踊りと扮装のコンクールが始められ、リオのカーニバルとして発展しました。サンバは、アフリカから奴隷として連れてこられた人々によるアフリカの民族音楽の流れを汲んでいます。
ヨーロッパ(ポルトガル)を祖先とした人々とアフリカを祖先とした人々の哀愁や郷愁、そして先住民にとってはヨーロッパ系の人々に土地を奪われたという苦悩を想起させ、こうした人々の感情が一気に噴き出し、にぎやかな祭りとなったといわれています。
つまりは多様な文化や歴史的背景、感情が融合して、リオのカーニバルという華やかな祭り(文化)を生み出したといえます。
ブラジルを代表する料理としては牛肉を焼いたシュラスコがあります。ブラジルの牛飼育頭数、牛肉の生産、牛肉の輸出量は世界トップクラスですが、国内消費も多く牛肉を食べる文化が定着しました。同じ牛肉を焼いた料理をアルゼンチンではアサードと呼んでいます。
ブラジルでの人気のあるスポーツとしてサッカーがあります。経済格差の大きい国では、貧困層から抜け出すための手段としてサッカー選手を目指す子どもは少なくありません。
ブラジル連邦共和国
面積:851.6万km2 首都:ブラジリア
人口:2億1345万 通貨:レアル
言語:ポルトガル語(公用語)、先住民の言語
宗教:カトリック65%、プロテスタント22.2%
隣接:フランス領ギアナ、スリナム、ガイアナ、ベネズエラ、コロンビア、ペルー、ボリビア、パラグアイ、アルゼンチン、ウルグアイ
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)