ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
スリナム共和国ってどんな国?
スリナム共和国は南米大陸の北部に位置する国で、フランス領ギアナ、ブラジル、ガイアナと国境を接します。ガイアナとフランス領ギアナに挟まれ、両国とは国境問題を抱えています。
16世紀から17世紀にイギリスとオランダがこの地で領有権を争い、1667年にニューアムステルダム(現ニューヨーク)との交換でオランダの植民地となりました。1975年に独立を果たしますが、独立後もオランダとの関係は強く、公用語は南米で唯一オランダ語です。
近年は、ブラジルをはじめとする周辺諸国やインド、中国、インドネシアといったアジア諸国、EUとの関係強化を図り、多角的な外交を進めています。
鉱産資源が産出される国で、金、ボーキサイト等の鉱産物が輸出額の5割以上を占めます。
スリナムは民族的に多様な国
植民地時代にアフリカから多くの奴隷が送り込まれ、奴隷解放後は農園の労働力不足を補うためにインドやインドネシアなどのアジアから多くの移民が入ってきました。そのため、インド系の住民が3割近くを占め、クレオール(この地で生まれ育ったヨーロッパ系とアフリカ系の混血)が2割程度を占めます。
アフリカ系のマルーン(奴隷として連れてこられたが、逃げて奴隷解放などに貢献した人々の子孫)、インドネシア系も1割以上を占め、民族的に多様です。
キリスト教信者が人口の4割を占めますが、インド系がヒンドゥー教、インドネシア系はイスラームを信仰することが多く、宗教的にも多彩です。
スリナム共和国
面積:16.4万km2 首都:パラマリボ
人口:61.5万 通貨:スリナム・ドル
言語:オランダ語(公用語)、英語、スリナム語
宗教:プロテスタント23.6%、ヒンドゥー教22.3%、カトリック21.6%、イスラーム13.8%
隣接:フランス領ギアナ、ブラジル、ガイアナ
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)