「中国気球の撃墜」を習政権が許せない理由、報復措置は本当に実行されるか米本土上空を飛行する中国の偵察気球(米西部モンタナ州)。4日、バイデン大統領は撃墜を指示した Photo:AFP=JIJI

改革開放とは対米開放と語った
北京大学の先生たち

「中国にとって、改革開放とは対米開放である」

 昨今の米中関係を観察しながら、2000年代初頭、筆者が北京大学で国際関係を学んでいたとき、複数の先生が語っていた言葉を思い出している。その中には、1989年に発生した天安門事件に際し、学生として北京大学から天安門広場へと向かった先生も含まれる。

 この文言には続きがある。

「従って、対米外交の失敗は、改革開放の失敗を意味する」

 当時は、江沢民政権から胡錦涛政権に移行して間もない頃であった。2008年の北京夏季五輪主催が決まり、そこに向かって、インフラ整備を含め都市の風貌は変わっていった。1964年に初めて五輪を主催した日本もそうだったと想像するが、当時北京で学んでいた筆者は、変わるのは物質面だけではなく、国民のマインドセットにも必然的に変化が生じるものだと実感していた。