スシローPhoto:Diamond

コロナ禍の収束を待たずに、今度は資源・資材の高騰や円安急進が企業を揺さぶっている。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、2022年10〜12月度のすしチェーン編だ。

スシローで起きた迷惑行為で大打撃
すし業界でコロナ前より「増収」なのは?

 すしチェーンの主要4社が発表した10〜12月度の月次業績データは、以下の結果となった。

◯スシロー(FOOD & LIFE COMPANIES)の既存店売上高
 10月度:前年同月比81.5%(18.5%減)
 11月度:同74.8%(25.2%減)
 12月度:同77.7%(22.3%減)

◯くら寿司の既存店売上高
 10月度:前年同月比105.9%(5.9%増)
 11月度:同96.2%(3.8%減)
 12月度:同94.6%(5.4%減)

◯かっぱ寿司(カッパ・クリエイト)の既存店売上高
 10月度:前年同月比98.7%(1.3%減)
 11月度:同101.2%(1.2%増)
 12月度:同108.2%(8.2%増)

◯元気寿司の既存店売上高
 10月度:前年同月比108.2%(8.2%増)
 11月度:同107.5%(7.5%増)
 12月度:同106.8%(6.8%増)

 すし業界といえば、最近は「深刻な風評被害」という望まない形で注目を集めてしまっている業界だ。

 23年1月29日ごろ、スシローでの迷惑行為を撮影した動画がSNSで拡散された。動画内では、少年が醤油の入ったボトルや湯のみを舐めまわして元の場所に戻したり、レーン上を移動する寿司に唾液のついた指で触れたりといった行為を繰り返していた。

 動画が拡散された影響で、スシローの運営会社「FOOD&LIFE COMPANIES」の株価が1日で5%近く下落し、時価総額が一時およそ168億円も吹き飛ぶという大打撃を受けてしまった。

 スシローはこの動画の拡散を受けて、被害届を警察に提出した。

 そんな大騒動の前のデータにはなるが、すし業界の業績をのぞいてみると、12月度において前年同月比の既存店売上高が最も好調だったのはかっぱ寿司(108.2%)だ。最も苦戦していたスシロー(77.7%)とは30.5ポイントもの大差がある。

 それでは、過去約2年分の月次の業績推移をデータで振り返り、各社のコロナ禍からの回復状況を確認しよう。月次業績データにおける直近3カ月の平均値を基にした最新の業界天気図も必見だ。