職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。
気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか?
この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきた『気づかいの壁』の著者、川原礼子さんが、「気がつくだけの人」で終わらず、「気がきく人」に変われる、とっておきのコツをご紹介します。

職場の素敵な人と鈍感な人「出社したら最初に何をやるか」でわかる差とは?Photo: Adobe Stock

職場に「誰がいたか」を思い出せますか?

 人と会う機会が減ったり、立場が偉くなったりすると、
以前より声をかけるのが照れくさくなった
 ということを感じないでしょうか。

 職場では隣の人に「おはようございます」と言ったきり、同じフロアなのにチャットやメールでのやりとりしかせず、声を発することがないようなときがありませんか?

 でも、先輩や同僚から話しかけられたときのことを思い出してみてください。
 仕事の途中でも意外と嬉しくて、つい話が弾んだりしますよね。
 だったら、「自分がされて嬉しいかどうか」を軸にして、話しかける機会を増やしてみましょう。

 おすすめは、出社したら、「誰がいるのか」を把握することです。
 別に、1人1人、全員にあいさつをしたり、話しかけたりする必要はありません。

「あの人、忙しそうだけど大丈夫かな?」
「あの人は休み明けのはずだったな」
「隣の部署は、今日は誰が出社しているだろう?」

 というように、誰がいるのか1人1人を確認していると、相手もこちらを見て目が合ったり、すれ違ったりしますよね。そんなときに「あいさつ」をすれば違和感がありません。

 鈍感な人は、自分の席に着いたら目の前の仕事に没頭して、職場に誰がいたのかすら思い出せなかったりします
 そうなってしまうのは避けたいですよね。

「会話をしてから」が出社です

 普段から会話の回数を増やしておかないと、いざというときに困ります。
 営業職向けにロールプレイング研修を行なうと、年々、参加者の「ボキャブラリー」が減っていると感じます。言葉のバリエーションが少ないのです。

「サポートも充実していますのでご安心いただければと思います。
 それから途中でプラン変更もできますのでご安心いただければと思います」

 というように、「安心」という言葉ばかりを繰り返すようなイメージです。あまりに同じ言葉を連発されると、「別に心配してないんですけど……」とつっこみたくなりますよね。

 やはり、普段から口にしているようなことが、ビジネスの大事な場でも出てくるのでしょう。だから、自分の心の壁を越えて、できるだけ話をする機会を増やしましょう。
 朝だったら、「おはよう」の後に、「週末ゆっくり過ごせた?」と質問するのもありです。
「さっきの資料、表紙の日付が抜けていたよ」程度のことなら、チャットで伝えるより直接言われたほうが嫌みもありません。

 声をかけるときの心の壁を越えるためには、「タイムカードを押すことが出社なのではなく、誰かと言葉を交わしてからが出社だ」と考えてもいいくらいです。
 自分から話すきっかけを増やすように行動してみましょう。

職場の素敵な人と鈍感な人「出社したら最初に何をやるか」でわかる差とは?

川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役。
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー。
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。