銀行・信金・信組 最後の審判 #4Photo:PIXTA

金融庁が“鉄つい”を下した2022年夏までに、いわゆる「地銀系証券」はどれほどの仕組み債を売りさばいてきたのだろうか。4兆円を超える仕組み債市場のうち、3割を占めるとされる公募仕組み債の金融機関別ランキングを作成すると、販売額1000億円超えとみられる地銀系証券が2社あった。特集『銀行・信金・信組 最後の審判』(全16回)の#4で、ランキングを公開する。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

昨年の秋以降に続々と販売停止
売りさばいてきた面々を探ってみると…?

 仕組み債とは、債券でありながらデリバティブの要素を含んだ複雑でハイリスクな金融商品だ。対象となる株価指数や特定の銘柄の株価、為替が一定の値を維持している間、顧客は通常の債券より高い利回りを得られる。

 しかし対象の値が一定以下に下落(ノックイン)すると、大きく元本割れするリスクがある。

 仕組み債はこれまで主に証券会社によって個人投資家に販売されてきた。だが、損失を被った投資家から多数の苦情が寄せられ、金融庁は昨年8月31日に公表した「2022事務年度金融行政方針」で、特に地方銀行グループ傘下の証券会社の販売体制についてモニタリングを行うと明らかにした。

 これを受けて同年9月、メガバンクや大手証券会社、地方銀行などが軒並み販売を中止したり、販売対象とする顧客を限定するといった方針転換を表明した。

 金融機関はこれまで、個人顧客にいったいどれほどの仕組み債を販売してきたのだろうか?

 仕組み債は、50人未満を販売対象に組成される「私募債」と、それ以上の人数に販売するため、組成や販売を行う金融機関名などを財務局に届け出る「公募債」に大別される。

 ダイヤモンド編集部は、このうち公募債販売額の集計を投資助言会社のしさん設計に依頼。その結果、金融機関ごとの販売額と、組成額とみられる金額が明らかになった。次ページでそのランキングを公開する。