ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
萩原栄幸の情報セキュリティよもやま話

「監視カメラ・防犯カメラ」の運用方法は
十分な議論がされているのか

萩原栄幸 [日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事]
【第2回】 2013年2月8日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
3
nextpage

 この件については、実は個人情報保護法で取り扱いが決まっている。経済産業省の「個人情報保護法ガイドライン Q&A」には次の記載がある。

防犯カメラの撮影により得られる容姿の映像により、特定の個人を識別することが可能な場合には、原則として個人情報の利用目的を本人に通知又は公表しなければなりません。もっとも、「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」には、その利用目的を公表等する必要がないとされており(法第18条第4項第4号)、一般に、防犯目的のためにビデオカメラを設置し撮影する場合は、「取得の状況からみて利用目的が明らか」であると認められるものと解されます。しかし、防犯以外の目的で利用する場合には、「取得の状況からみて利用目的が明らか」とは認められない可能性が高いため、当該利用目的を公表等する必要があります。(2005.7.28)

 つまり、表示しないことが法律上は許容されている。表示した方が良いのか、無表示でも良いのか、これは今後犯罪心理学やプライバシー保護などの観点から十分に検討する必要があると考えている。

警視庁の野心的な取り組み
「三次元顔形状データベース自動照合システム」

 現在では監視カメラの性能がすばらしく向上している。例えば光が全くない0ルクスの状況で、通常のカメラなら文字通り真っ暗になるところでさえ、鮮明な撮影ができる。また犯人と同じ人物かを探る手法としてもさまざまな手法が現在試行されている。こうした中、警視庁が野心的な取り組みを進めているようだ。昨年8月14日の東京新聞の記事から抜粋すると次のようなものだ。

「街角の顔画像 容疑者と照合 昨春から非公開運用」

民間の事業者が街頭に設置している防犯カメラの画像と、警視庁が所有するテロリストらの画像を機械的に照合するシステムを、警視庁が昨年三月から試験運用していることが、警視庁への取材や情報公開請求で開示された文書で分かった。

(中略)

 開示された文書などによると、試験運用しているのは「三次元顔形状データベース自動照合システム」で、民間の防犯カメラ二十台と接続している。

 カメラに写った映像の中から人の顔を検出し、警視庁が作成したテロリストや指名手配容疑者の顔画像のデータベース(DB)と自動的に照合。DBと一致した顔が見つかると、カメラの設置場所を管轄する警察署に自動通報され、警察官が急行する。一致しなかった画像は廃棄する。

 テロリストらの二次元画像を情報技術(IT)で三次元にし、さまざまな角度の顔画像をDBに登録することで、正面からだけではないカメラ画像との照合を可能にした。 

(以下略)

previous page
3
nextpage
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

萩原栄幸
[日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事]

(はぎわら えいこう)2008年6月まで三菱東京UFJ銀行にて先端技術の調査研究を職務とし、実験室「テクノ巣」の責任者として学会や金融機関を中心にセミナーやコンサルを行なう。現在は日本セキュリティ・マネジメント学会の常任理事であり学会の「先端技術・情報犯罪とセキュリティ研究会」で主査も兼務している。
防衛省、県警本部、県庁、市役所などの講演やコンサルも多数の実績を持ち、特に「内部犯罪防止」「情報漏洩対策」「サイバー攻撃対処」では第一人者であり一般的な「コンプライアンス」「情報セキュリティ」などにおいても平易に指導することで有名。

萩原栄幸の情報セキュリティよもやま話

クラウド、ソーシャル、モバイル、ビッグデータなど、経営環境をめぐる新たな技術革新が進展するにつれ、企業が対応しなければいけないセキュリティリスクも拡大を続けている。脅威から情報を守るために、ビジネスパーソンがおさえておくべきスキルや、組織におけるマネジメントが関心を持つべき新たな課題まで、「コンプライアンス」「情報セキュリティ」の第一人者が、やわらかく解説する。

「萩原栄幸の情報セキュリティよもやま話」

⇒バックナンバー一覧