大手私鉄が自転車持ち込み可「サイクルトレイン」に注力、現状と課題とは写真はイメージです Photo:123RF

自転車を折りたたまずに電車内に持ち込める「サイクルトレイン」の事業化を模索する動きが、大手私鉄で相次いでいる。コロナ禍で輸送需要が減少する中、観光地の活性化にもつながる新たなサービスは定着するのか。各社の取り組みや課題について解説する。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

到着駅から目的地までの
ラストワンマイルという課題

 ラストワンマイルという言葉がある。「ワンマイル」とは概念上のもので必ずしも実際に1マイル=約1.6キロとは限らないが、ともかく最寄り駅から目的地まで最後の区間の移動をどう埋めるかという交通上の課題だ(旅客輸送に限らず物流や通信業界にも用いられる)。

 通勤利用に代表される自宅から出発駅までの移動は、自転車や原付バイクで駐輪場に停車、マイカーによる送迎など選択肢があるが、目的地側では駅からの足がない。

 駅からバスが出ていればよいが、近年は利用者の減少により減便、廃止が進んでいる。朝夕はかろうじて本数があっても日中はほとんど走っていないケースが多く、地域によってはバス自体ないこともある。

 目的地に直行する交通手段としてはタクシーもあるが、地方では駅で待っていてもなかなかやって来ず、電話をしても配車を断られることもある。つかまったとしても毎回タクシーを使うのは負担が大きい。

 そこで2000年代後半からシェアサイクルに注目が集まった。駅前や商業施設、コンビニなどにも設置が広がっており、交通計画の一部に組み込む自治体も増えている。

 また2022年4月の道路交通法改正で電動キックボードが規制緩和され、最高速度時速20キロ以下など一定の条件を満たす車両を「特定原付」に指定。今年7月1日から原付免許不要で乗車できるようになる。これを(少々重いが)持ち運べば行きと帰りの足になるというわけだ。

 だがシェアサイクルは数に限りがあり、電動キックボードはそれなりの値段がする。もっと気兼ねなく気楽に利用するなら、普段使いの自転車で自宅から駅まで移動し、一緒に鉄道に乗り、到着駅から目的地まで自転車で移動するのが合理的だ。こうしたサービスをサイクルトレインという。