今年1月の全国における企業倒産件数は9カ月連続で前年同月を上回り、増加傾向が鮮明になっている。特に目立つのが物価高倒産だ。その厳しい現状や今後の値上げ見通しについて、帝国データバンクが最新データで解説する。(帝国データバンク情報統括部 阿部成伸)
1月の物価高倒産は
過去最多の50件
2023年1月の全国企業倒産(法的整理、負債1000万円以上)は546件、負債総額は507億6900万円となった。件数は9カ月連続で前年同月を上回り、増加基調はより鮮明となっている。
2000年以降で単月の倒産件数が連続して前年同月を上回ったのは、2001年1月~2003年2月の26カ月が最長。戦後初めて政府が「日本経済はデフレ」と認定し、不良債権処理の加速化といった背景があった。次いでリーマン・ショック前後となる2008年6月~2009年8月の15カ月、脱談合の加速、貸金業法改正などがあった2006年10月~2007年11月の14カ月と続き、現在の9カ月連続(2022年5月~)はこれらに次ぐ長さとなっている。
1月の動向で目立ったのは、「物価高倒産」が引き続き高水準で推移していることだ。原料や燃料、原材料などの「仕入れ価格上昇」、取引先からの値下げ圧力などで価格転嫁できなかった「値上げ難」などにより、収益が維持できずに倒産に至ったケースを指し、1月は調査を開始(2018年1月)以降で単月最多の50件となった。