「なぜ、あの人は誰とでもうまくやれるのか?」
あなたのまわりにも、人間関係を築くのが上手な人がいるのではないでしょうか。成功と幸福に必要なのは、知性や学歴、体力ではなく、「人とどれだけうまくかかわることができるかである」と言われています。この連載では『慕われる人の習慣』の著者であり、全米セールスマン・オブ・ザ・イヤーを獲得したレス・ギブリン氏による「人に慕われる技術」のシンプルな実践方法を紹介します。
相手に「OK」と言わせる能力
「人に慕われる技術」には、相手の意思決定をうながす能力も含まれる。
あなたにとって良い決定をしてほしいなら、偶然の幸運や相手の気まぐれに頼ってはいけない。
「人に慕われる技術」にたけた人たちは、相手に「OK」と言わせる技術を身につけている。
相手に「OK」「イエス」と言わせることは、好意的な意思決定をしてもらうことを意味する。
相手に「イエス」と言わせることは、究極の「人に慕われる技術」である。
「人に慕われる技術」を飛躍的に高めるための、とても楽しいテクニックを紹介しよう。
相手の意思決定をあやつる4つのテクニック
1「イエス」と言う理由を相手に与える
大半の行動には理由づけが必要だから、相手に何かをしてほしいなら、それをするだけの理由を与えればいい。
適切な理由を与えると、相手はあなたがしてほしいと思っていることをしてくれる可能性が高くなる。
ただし、相手に与える理由は「自分の理由」ではなく「相手の理由」であるように配慮しなければならない。
「相手の理由」というのは、相手にそれ相応のメリットがあることを示すという意味だ。
相手の理由の具体例
・「こうすれば、お金が貯まりますよ」
・「このやり方なら、きっとあなたの利益になるはずです」
・「これであなたは、すてきな人に出会えますよ」
「イエス」と言う理由を相手に与える最適なタイミングは、相手が意思決定をしつつあるときだ。
好意的な決定をしてもらうためには、タイミングが成否を分ける。
相手がまさに意思決定をするときに「相手の理由」を示すと、それがたいてい決め手になる。
すでに「相手の理由」を伝えているのに、まだ相手が迷っているようなら、その理由を繰り返すか新しい理由を言えばいい。
2「イエス」と言いたくなる質問をする
あなたなら次の質問にどう答えるだろうか?
おそらくこんなふうなやりとりになるはずだ。
Q楽しく過ごしたいですよね?
Aはい、もちろんです。
Qご家族には幸せになってほしいですよね?
Aはい、もちろんです。
「イエス」と言いたくなる質問をすると、うまくいく理由は明らかである。
相手を「イエス」と言いたくなる心理状態にすれば、頼みごとに対しても「イエス」と言ってくれる確率が高まるからだ。
人々は何度か「イエス」と言ったら、次の提案や要望に対しても「イエス」と言う可能性が高くなる。
「イエス」と言いたくなる質問は使っていて楽しいし、実際にうまくいくので、ますます楽しくなる。
「イエス」と言いたくなる質問をするときに使うべき重要なスキルは2つある。
質問をしながらうなずくことと、相手に焦点をあてて質問をすることだ。
たとえば、次のように質問すると効果的である。
・「もっとお金を稼ぎたいですよね?」
・「楽しみながらできる仕事をしたいと思いませんか?」
・「つねに臨機応変に対応することが大切ですよね?」
3 相手に2つの選択肢から選ばせる
いずれの質問に対しても、相手が「イエス」と答えてくれるように、質問の仕方を工夫するといい。具体例を紹介しよう。
・面会の予約を取りつけるとき
「ぜひお会いしたいのですが、明日の午前と午後なら、どちらがいいでしょうか?」
いずれにしても、答えは「イエス」である。
2つの選択肢から1つを選ぶように質問の仕方を工夫すると、相手はどちらを選んでも、あなたの要望をかなえることになる。
先ほどの例で説明すると、まずい質問の仕方は「残業してほしいのだが、明晩はどうだろうか?」である。
この質問に対しては、「ノー」という答えが返ってくる可能性が非常に高い。
4 期待されていることを相手に伝える
誰かに何かをしてほしいとき、「イエス」と言うように期待されていることを相手に伝えよう。
自分が引き受けることを期待されているという理由で、動いてくれる人がたいへん多いことにあなたは驚くだろう。
たとえば、こんな伝え方が効果的だ。
・「当然、すばらしい活躍をして成果を上げ、報奨金を手に入れたいですよね」
・「あなたはチームの一員として、会議に参加することを期待されていますよ」
期待度の高さを相手に力強くはっきりと伝えると、「イエス」という答えが返ってくる可能性はぐんと高くなる。
このテクニックがいつもうまくいくとはかぎらないが、たいていうまくいくし、それ以外の方法よりもうまくいく。
ぜひ試してみて、自分で確認してほしい。