地球の傾きがもたらした ヌーの大移動
タンザニアのセレンゲティ国立公園とケニアのマサイマラ国立保護区内を、草を求めて移動する約150万頭のヌー。この習性は、地球が公転面に対して約23.4度傾いていことが大きな理由となっているのです。
地球が傾いていなければ、赤道にほど近いセレンゲティやマサイマラ内は1年中同じように強い太陽光をあびることになります。そして赤道付近に発生し雨をもたらす熱帯収束帯も大きく移動することはないのです。ところが地球が傾いていることで、強い太陽光の当たる地域が少しずつずれていき、熱帯収束帯も大きく蛇行します。そのため同一サバンナ内に雨季と乾季が存在し、雨によって草が生い茂る場所へとヌーが大移動するというわけです。
ヌーは非常に嗅覚が強く、約50km先の雨の匂いを察知することができるといわれています。嗅覚を頼りに、より新鮮な草を求めセレンゲティ、マサイマラ周縁部を時計回り、蛇行も繰り返しながら、1年かけて移動するのです。その距離は日本列島の端から端に相当する約3000kmにもなります。
移動ルート上にはマラ川やタレック川、グルメッティ川、さらにその支流もあり、草地を求めての川渡りも行われます。川にはナイルワニが、川の周囲ではライオンなどの肉食獣が待ち構えています。そんな危険を冒しても、150万頭ものヌーは食料を求めて川に飛び込んでいくのです。その光景は、アフリカのサファリで最大の見ものになっているほどです。
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※本記事は『地球の歩き方』からの転載記事です。