【4位/セールスフォース・ジャパンの社員クチコミ】
「製品知識・資格については、時間さえ捻出できれば機会が広く提供されている。ソフトスキル面では、常にマルチタスク状態となるため現状把握、処理能力は高まる」(カスタマーサクセス/女性)
【5位/リクルートの社員クチコミ】
「クライアントの課題に対する施策として自社サービスを提案する姿勢が会社として徹底されており、入社から徹底的に思考と行動を叩き込まれるため、上司・同僚とも同じ哲学で仕事をすることになります。仕事をがんばりたい人にとっては理想的な環境でした」(企画/男性 *退職済み)
「働きがい」の価値観は
変わりつつある
こうして見ると、上位企業に共通するのは、社員が新しい仕事にチャレンジし、自身のキャリアが日々向上していくことを実感できる風土があることと言える。もちろん、給与や福利厚生が良いことも社員にとっては魅力だろうが、それだけで「働きがい」は決まらない。
社員にスキルアップを促す実力主義が根付いている外資系企業が、上位に多くランクインしたのも頷ける。特にコンサル業界は、クライアントに対するサポート業務の過程で、企業経営に関する深い問題解決能力を身に付けられる点が、優秀な学生に注目されているのだろう。
日本企業の中にも、社員のモチベーションアップにつながる「働き方改革」に力を入れる企業が増えている。「人財重視」を謳い自律支援型の社員マネジメントが評価されている中外製薬は、ここ数年で「働きがい」の順位が急上昇した。リクルートも21年に関連7社を統合する組織再編を行い、社員約2万人を対象に、新しい働き方を支えるための人事制度を改定して注目を集めた。
またソニーグループは、年次によらず現在の役割(ジョブ)に応じて全社員の等級が決まる「ジョブグレード制度」、上司に知らされることなく社員がキャリアアップのために自ら手を挙げ希望する部署やポストに異動できる「社内募集制度」など、ユニークな働き方の諸制度を通じて、新卒・中途採用を増やしている。
現在、若者の間で共通認識になりつつあるのが、「最初の就職はファーストキャリア」というものだ。不確実性の多い世の中で、ずっと1つの会社に頼るのではなく、自分自身でキャリア形成を考え、自らの力で生き抜いていく必要がある、という思考が根底にある。ここで紹介した社員のクチコミからも、そんな意識が伝わってくる。
自社の評価において、社員に成長環境を用意できるか否かという「ソフト面」が、給料や福利厚生などの「ハード面」よりも重視される時代が訪れつつあることを、企業関係者は意識すべきだろう。また就活生やその親にとっても、そうした視点で「働きがいランキング」を見ると、新しい発見があるかもしれない。
(まとめ/ダイヤモンド社 ヴァーティカルメディア編集部 副編集長 小尾拓也 *本記事はOpenWork[オープンワーク]からの提供データを基に制作しています)