◇3つのペーシングを使いこなす
親近感を持ってもらいたいとき、三流は自分らしさを発揮して聞き、二流は感じがよさそうな聞き方をし、一流は3つのペーシングを使いこなす。
人は、共通点が多い人に親近感を持ち、好感をいだきやすくなる生き物だ。出身地が同じ、母校が一緒などの共通点があれば、親近感を生むのは簡単である。ただ、常に共通点が見つかるとは限らない。
一流はそんなとき、共通点を作り出す。相手と波長を合わせて「この人と自分は似ている」と感じさせるのだ。
ポイントは3つ、「言葉を合わせる」「声の使い方を合わせる」「身体の使い方を合わせる」だ。言葉・声・身体の使い方を似せると、自然と誰からも好感を抱いてもらえる。仕事や交渉事もぐっとスムーズになるはずだ。
◇オウム返しして待つ
三流は話泥棒をし、二流は質問をして、一流はオウム返しして待つ。
会話がうまくない人の共通点は「話泥棒」をしがちなことだ。「この前の日曜日、浅草の雷門に行ったら、ものすごい数の観光客でびっくりしたよ」と言われたら、「雷門には3年前に行ったよ。すごく混んでて、外国人ばっかりだったよ。そうそう、ほおずき市をやっていて、でかいのを買って帰ったら、1カ月くらい飾れてびっくりしたのを思い出すなあ」などといつの間にか自分の話を始めてしまう。
二流は質問攻めだ。「私、ゴルフが趣味なんですよ」→「へえ、月にどれくらいコースに行かれるんですか?」→「まあ、2回くらいですかね……」→「よく行かれるコースはどちらですか?」→「静岡の○○コースによく行きますよ」→「そうなんですね……」といった流れで会話を進める。相手の話を奪いはしないものの、自分が聞きたい質問ばかりして、相手の話したいことを邪魔している。