ここ数年、電子化によって紙の使用をなくす「ペーパーレス化」が進み、銀行ではWeb通帳、学校ではデジタル教科書などが導入されています。家の中を整理する場合も、紙で保存する必要がない書類は電子化して捨てればスッキリと片づきますが、実は紙で残しておかないと「お金で損をする」場合もあります。
本稿では、片づけアドバイザー・石阪京子先生の最新刊『人生が変わる 紙片づけ!』より一部を抜粋・編集して、「お金が貯まる人」が絶対に捨てない“2つのモノ”をご紹介します。(構成/根本隼)
残しておくべきなのは「お金に換わる紙」
声を大にしてお伝えしたいのは「ほとんどの紙は捨てられる」ということです。仕事の書類は、そうはいきませんが、家庭内の紙や書類で、紙として残さないといけないものは、実はほとんどありません。
残すべき紙は、コレだけです。
「金目の紙」と「使う目的がある紙」
ただし、「金目の紙は残しましょう」と言うと、銀行から届く定期預金満期のお知らせや、保険会社から届く契約内容の確認書、給与明細など「金額が書いてある紙」も残しがちです。
でも、それは金目の紙ではありません。金目の紙=お金に換わる紙です。
「お金が貯まる人」が絶対に捨てない紙(1)=学歴や資格の証明書
例えば、最終学歴の証明書や国家資格の証明書などは、金目の紙ではないと思われがちなのですが、そうではありません。実は、信用と引き換えにお金を生む、金目の紙です。というのは、住宅ローンを借りる時に銀行の人に見せることがあるからです。
不動産の仕事でお客様と一緒に銀行へ行くと、その方が美容師や柔道整復師などの資格をお持ちの場合、証明書を出すように言われることがけっこうあります。そうやって、技能を紙で証明することで、ローンの審査が通りやすくなるケースがあるのです。
国家資格に限らず、履歴書に書けるレベルで、仕事につながるような資格の証明書はすべて“金目”です。また、英検などは、証明書を提示することで受験や就職・転職活動で優遇されることもあるので、大切に保管しておきましょう。
「お金が貯まる人」が絶対に捨てない紙(2)=不動産売買契約書
不動産を所有されている方は、住宅関係の書類を持っておられるはずですが、その中でも絶対になくしてはいけないのは、「不動産売買契約書」です。この書類には、何をいつ、いくらで購入したかなどの情報が記載されています。この中で特に重要な情報は「いくらで買ったか」です。
以前、うちの不動産業のお客様にこんな方がおられました。40年ぐらい前に購入した戸建てを売りたいとのこと。物件があるエリアは、物件を購入した40年前と比べると、土地の価格が下がってきています。
でも、不動産売買契約書がどうしても見つかりません。そのため、本当は仮に3000万円で購入して、現在は2000万の値だとしても、それを証明できません。だから、購入時よりも高い値がついていることにされて、利益を得たとみなされることがあるんです。そうすると、たくさん税金を取られます。
なくしてしまった場合の対策が、ないこともないのですが、非常に厄介なので、この書類は大切に保管しておいてください。
(本稿は、『人生が変わる 紙片づけ!』の一部を抜粋・編集したものです)