健康保険組合の給付金制度で
医療費は思ったより安く

 ちなみに、差額ベッド代は健康保険の対象外だ。また、税務的にも医療費として控除の対象にはならないと聞いている。この一泊4万円は、筆者の「自発的贅沢(ぜいたく)」だと思ってくれていい。もっと安く済ませることが十分可能だ。

 加えて、差額ベッド代を除いた約75万円が全て自己負担の医療費になるかというと、現実はもっともっとお財布に優しかった。筆者の場合、健康保険組合独自の給付金制度があるからだ。

 東京証券業健康保険組合の場合、一回に2万円を超える保険診療の医療費支払いは、2万円との差額が給付される制度がある。給付のタイミングは自己負担額の支払いの3カ月後だ。

 他の健康保険組合では、医療費の支払い一回当たりに自己負担の上限を設けて計算するケースもあるし、1カ月の医療費に上限があって差額が後から補填されるケースもあるようだ。

 また、加入員の自己負担における上限金額の設定に違いがある。個々の健康保険組合によって条件が異なるが、企業や業界単位の健康保険組合の場合は何らかの補填的給付があるケースが多い。特に、サラリーマンはご自身が加入する健康保険組合の条件をホームページなどで確認しておくといい。

 例えば、初回の入院費を支払った昨年9月分の医療費では、保険診療分として筆者が窓口で機械に支払った金額が25万円だった。ところが、「一部負担還元金現金給付」として健康保険組合が支給してくれた金額が23万円あって、この支払いは12月半ばに行われている。

 2度目の入院の支払い27万円と、2万円を超える通院の支払い3万円があった10月分には、後から26万円が支給されている。支給額の決定は支払い一件単位なので、前者の支払いに対して25万円と、後者の支払いに対して1万円の合計が26万円だということなのだろう。この月は2万円を超える支払いが2回あったので、筆者は4万円負担した。

 3度目の入院の支払いがあった11月は、筆者の支払いが14万円で、健保組合からの給付は12万円だ。ここまでの3回で合計61万円支給されている。

 なお、煩雑になるが本記事の性質上記しておくと、筆者が窓口で支払った金額のうち保険診療に該当する金額については、国民健康保険の高額療養費制度の上限額が支払いの上限になるように病院側が調整する仕組みがある。一回当たりの支払い額があまり大きくならないようにとの配慮だろう。

 これが先に適用されて高額療養費制度で支払いの上限があり、まずこれを支払う。その支払い額に対して健康保険組合が一件2万円を超える分をさらに負担してくれる仕組みだ。