新日本酒紀行「有機三州味醂」宮城の有機農家の圃場。圃場は佐賀や北海道等にも Photo by Sumiyabunjirousyoten

原料は餅米、米麹、米焼酎だけ!飲んでおいしい自然派みりん

 みりん屋を名乗り、製造と営業をこなして伝統製法のみりんを広める三角祐亮さん。神奈川出身、早稲田大学卒業後に日本経済新聞社の広告営業を経て、伝統醸造の道へ飛び込んだ。というのは、妻、治子さんがみりん専業の角谷文治郎商店社長の角谷利夫さんの娘だったから。みりんと無縁だった祐亮さんは、驚きや感動、製造の規定などを分かりやすく紹介し、新しい層を開拓。みりんを飲んだ客は、濃醇な甘みとうまさに表情を一変する。「みりんは戦国時代に生まれた高級な甘口酒。うちでは米一升から、みりん一升を造ります」と製法を説明。実は、国産原料だけを使う伝統製法のみりんは極めて少ない。「本来のみりんは、餅米、米麹、焼酎が基本ですが、米よりも多い糖類の添加が認められ、原料表記は多い順ではなく必須原料が先。アルコール分は約14%で酒税がかかり、販売には酒類販売業免許が必要」(祐亮さん)。一般的なみりん風調味料は、糖類、醸造調味料、酸味料等が原料。アルコール分は1%未満で酒税対象外だ。みりんタイプの発酵調味料は、アルコール分を10%以上含むが、不可飲措置として塩が添加されて酒税対象外と、原料も製法も違いが大きい。