タクシー運転手が「道わからない」と遠回り、返金してもらえる?弁護士の答えは写真はイメージ(Satoshi KOHNO / PIXTA)
*本記事は弁護士ドットコムニュースからの転載です。

 タクシーに「道が分からない」と遠回りされ、いつもは3500円なのに5000円も請求されたという男性(東京都内在住)が憤慨している。

「運転手に聞いたら、営業所はこの近くって言うんですよ。なんで、全然道を知らないんですかね。遠回りだと指摘したら、ふてくされるし。タクシー会社にクレームの電話を入れましたよ」

 男性は「差額を払ってほしい」とは訴えなかったが、運転手の対応に納得していない様子だ。タクシーの遠回りは法的にどう考えられるのか。半田望弁護士に聞いた。

ポイントは「注意を怠らなかった」といえるか

――遠回りで料金が水増しされた場合、タクシー会社に損害賠償を請求できるのでしょうか。

「タクシーの利用にあたっては、多くの場合、国土交通省の『一般乗用旅客自動車運送事業標準運送約款』が適用されると考えます。同約款では、タクシー会社は、会社または係員(乗務員)が運送について『注意を怠らなかった』ことを証明できた場合を除き、『運送に関し旅客が受けた損害を賠償する責任がある』と定めています(同約款8条)。

 わざと遠回りをして料金を水増しした場合、乗務員の故意により利用客に損害を与えたことになりますので、タクシー会社が水増し分を賠償する義務があることは、疑いようがないでしょう」