早速、由紀恵と食事の約束を取り付け、その日を迎えました。当日は山中氏が手配した都内ホテルの最上階にある高級レストランでの食事の後、同じホテルのバーで飲もうということになりました。したたかに酔った二人はその場の勢いでホテルの部屋に入り一夜を共にしたそうです。

 山中氏にとって素晴らしい出会いのあった夜でした。しかし、翌日の朝を迎えたとき、まさに天国から地獄へ真っ逆さまのような出来事が起こりました。チェックアウトをして、由紀恵を伴いホテルの地下駐車場に止めてある車を見ると、山中氏の車のフロントに接触するほどの至近距離に、黒塗りのワゴン車が停車してあったのです。そのワゴン車から一人の男が降りてきて、いきなり由紀恵の頬を平手打ちしました。

 地面に倒れてうずくまる由紀恵の横で状況をのみ込めない山中氏に向かって男は、藤原と名乗り「俺の妻に手を出したからには、それ相応の償いをしてもらおうか」と怒鳴ってきたのです。気が動転した山中氏はただただ恐ろしくて土下座して謝りました。

 その後、藤原に言われるがままに、免許証と名刺と、財布の中にあったお金全額8万4000円を震える手で差し出しました。

会社に着いた途端
男から電話、さらに100万円の要求が

 藤原は免許証をスマホで撮影した後に「会社にバレたらどうなるんだろうな?慰謝料についてはまた後日詳しく話そう」と言って免許証を返し、由紀恵を連れてワゴン車で走り去りました。

 山中氏はなんとか気持ちを落ち着かせて出社しました。しかしデスクに座った途端電話が鳴り、出ると相手は藤原でした。山中氏はまさか行動を見張られているのでは?と味わったことのないような恐怖を覚えたそうです。

 藤原は「ちゃんと出社してえらいな。由紀恵はあれからずっと罪の重さを感じて泣いてるのに」。山中氏は何も言えませんでした。藤原は続けて「仕事終わりに100万円持ってきて、誠意を見せてくれ。それで終わりにしよう。会社の前で待ってるからな」と言い、電話を切りました。