「好きに決められる」ほうが親切なように思えるが、そのほうが煩わしいと思う人も多いのだ。わざわざ選ばせなくてもよいサービスは、案外多いのかもしれない。
◆好感を持たれるコミュニケーションの心理法則
◇相手と同じ言葉を使う
好かれたい相手がいるのであれば、その人が使う言葉をそのまま使うといい。たとえば、お客さんが「おヒヤをください」といったら、「おヒヤですね、すぐお持ちします」と答える。わざわざ「お水」と言い換えたりする必要はない。
オランダのあるレストランで行われた実験によると、フライドポテトを頼んだお客さんに対して、注文の言い方をそのまま繰り返した場合と別の言い方で注文を復唱した場合では、前者のほうのチップ額が140%も多くなった。
同じ言葉を使うことで、相手は自分に対して親近感を覚える。だが、違う言葉を使ってしまうと、なんとなく相性がよくないと感じてしまうのかもしれない。ビジネスでも、電話やメールなどで相手が使う用語や言い回しを意識的にそのまま使うようにするといいだろう。
◇自分を知ってもらう
取引先と良好な関係を築きたいのであれば、積極的に自己開示するのがおすすめだ。人は、よく知らない相手に対してはいくらでも冷たい態度をとることができる。だが、相手のことを知るほど、そうはいかなくなる。ビジネスシーンでも、初対面の人との商談や打ち合わせにおいては「自分を知ってもらう時間」をつくるといい。一旦仲良くなってしまえば、ひどい対応を取られることはなくなる。
ただし、プライベートな情報の開示は、「少し足りないくらいがちょうどいい」。これを、心理学では「レス・イズ・モア効果」と呼ぶ。なんでもあけっぴろげに自分のことを語ってしまうのは信頼関係構築の上では逆効果だ。相手のことを知れば知るほど好きになるとは言っても、それには限度がある。あまり知りすぎると、好意をもちづらくなってしまうのだ。隠すべきところは隠したほうが、魅力的な人間だと思ってもらえるはずだ。