小中高での情報教育の変遷と
現在のプログラミング教育

 プログラミング教育が必修化された小学校では、プログラミングそのものではなく「プログラミング的思考」、つまりプログラミングに必要な知識や考え方を教えるという立て付けになっています。

【小学校では「プログラミング的思考」を教える】

 また、高校では2022年度から必修科目「情報I」と選択科目「情報II」が新設されました。この新教科にはプログラミングが必修科目でも含まれています。2024年度からは大学入学共通テストの教科として「情報」が加わり、国立大学の受験生には従来の5教科7科目から6教科8科目が課されるようになります。

 学習指導要領を過去からたどって見ると、日本では長らく、プログラミングは高校の商業科や工業科で教えるもので、普通科では教えないものとされてきたことがわかります。それをいかに普通科で教え、さらに大学入試の中に取り入れるかで、相当長い時間がかかってしまったようです。

 高校では従来も選択必履修科目で情報を学んでいましたが、このうちの易しい方の科目「社会と情報」にはプログラミングが含まれていませんでした。今回の学習指導要領の変更により、必修の「情報I」にもプログラミングが入り、高校でもしっかりプログラミングを教えるかたちに変わりました。

 中学校でも技術・家庭科の技術の部分、「情報の技術」でプログラミング教育が行われるようになっています。

 このように文部科学省などの施策や働きかけにより、プログラミング教育の環境は整いました。GIGAスクールをはじめとした学校や児童・生徒のIT環境が整備され、学習指導要領でも小中高で情報やプログラミングを教えるようになっています。

 文部科学省はその先、2030年度の学習指導要領改訂に向けた議論を始めており、その中ではさらに突っ込んだプログラミング教育を取り入れることを検討しているようで、非常によい方向に進んでいると思います。ただ、私にはまだ少し、プログラミング教育に対する懸念が残っています。